第2話
文字数 426文字
「うちのインコが迷子なんだ」
彼はいつものけだるげな声で、そう呟く。
「うそ、大丈夫なの?」
私はそう聞き返す。彼の家ではインコを飼っている。体が緑色で、頭が黄色のセキセイインコ。一度、写真が送られてきたことがある。
「わからない。いつの間にか小屋の扉が開いていて、家じゅうを探し回ったけどいなかった。もしかしたら外に出たのかもしれない」
彼は淡々と、そう説明した。
こういうとき、私はなんて言えば良いのかわからなくなる。大変だね、見つかるといいね。そんな言葉は、まるで他人事みたいだ。私は彼の他人になりたくはない。
だから、さんざん迷った挙句に、私はこう言った。
「私がインコを探すよ」
わずかな沈黙のあと、彼の明るい笑い声が聞こえた。私はとたんに恥ずかしくなって、かぶっていた毛布を顔まで引っ張り上げた。私の顔なんて、彼には見えないのに。
「あはは、ありがとう。助かるよ」
彼は笑いを嚙み殺しながらそう言った。今、私の顔が、彼に見えなくて良かったと思った。
彼はいつものけだるげな声で、そう呟く。
「うそ、大丈夫なの?」
私はそう聞き返す。彼の家ではインコを飼っている。体が緑色で、頭が黄色のセキセイインコ。一度、写真が送られてきたことがある。
「わからない。いつの間にか小屋の扉が開いていて、家じゅうを探し回ったけどいなかった。もしかしたら外に出たのかもしれない」
彼は淡々と、そう説明した。
こういうとき、私はなんて言えば良いのかわからなくなる。大変だね、見つかるといいね。そんな言葉は、まるで他人事みたいだ。私は彼の他人になりたくはない。
だから、さんざん迷った挙句に、私はこう言った。
「私がインコを探すよ」
わずかな沈黙のあと、彼の明るい笑い声が聞こえた。私はとたんに恥ずかしくなって、かぶっていた毛布を顔まで引っ張り上げた。私の顔なんて、彼には見えないのに。
「あはは、ありがとう。助かるよ」
彼は笑いを嚙み殺しながらそう言った。今、私の顔が、彼に見えなくて良かったと思った。