第5話:土志田恒夫の優しさ

文字数 1,604文字

何でと言うと米山さんのご夫婦が、古い家に住んで、米山建男さんが、毎週3回もベッドに5時間も寝かされ続けるんだぞ可哀想じゃないか、せめて可愛い孫達と短い間でも一緒に住まわせやりたいとは、思わないかと冷静な口調で言うと勇の目頭が、熱くなり、わかりましたと言うと、思わず、父の優しさに涙がこぼれてしまった。この話は、他には言うなよと、父が言うのでわかりましたと答えた。そうして勇が、奥さんに4月から母屋に5人で住んで、両親がこっちにすむからと言われたと告げると、そんなの悪いわと言ったが、これは父から言われたのだと伝えて4月1日、母屋に移動した。その後、父が、母屋と離れの風呂とトイレを新しくしてくれた。勇がお金出すよと言うと、父が笑いながら、俺の方が金持っているから大丈夫だと言ってくれた。その後、5月になり土志田勇と種子と子供達で米山家をお見舞いに訪ねた。その時、勇が父から、お前達5人で、離れは小さかろうと言われ、母屋に入るように言われ、両親が離れに入ると指示されたと話した。母屋は古い作りですが5LDKと広いので、そのうちに良かったら一緒に住みませんかと誘うと、そんな事出来ませんわと、米山幸子が言った。すると米山建男、その話を静かに聞いていた米山建男が目に涙を浮かべて、そんなに気を使わんで下さいと言い、どなたが言いだし存じませんが、非常にありがたい申し出、本当にありがとうございますと目にいっぱいの涙を浮かべて話してくれた。その姿を見て、大人4人が涙を流し、米山建男が勇さん、あんたは、本当に心優しい、素晴らしいお父さんに育てられて幸せですねと言った。そして、お父さんに、ありがたい申し出、痛み入りますと答えておいて下さいと言った。このお話、もう少し、考えさせていただき、お答えしますと言った。わかりましたと勇が言い、くれぐれも無理なさらず、可愛い孫達も、米山さんご夫妻が来られるのをお待ちしていますと言うと、たまらず、米山幸子が、土志田一男、和子、二男を泣きながら、1人ずつ抱きしめた。これを見ていた種子は、号泣した。そうして、少し落ち着いたところで、勇が、それでは、お待ちしていますと言い、失礼した。そして、1週間後、米山建男さんから土志田恒夫に、お礼の電話がかかり、来月6月から、お宅の母屋に住まわせいただきますと言い、お情け痛み入りますと何度も何度も、お礼を言ってそうだと勇が聞かされた。その後、米山建男さんから勇に今の家を売りたいのだが、不動産屋、工務店など知り合いはいませんかと聞いてきたので、父の友人の親戚の新井工務店の新井伸一社長を紹介した。数日後、米山家の売却の広告を中古住宅。現状渡し1800万円で地元の不動産屋3件に出した。そうして6月から米山夫妻が8畳2間を提供し、残りの3間を土志田勇一家5人が使う事になった。新品のお風呂とトイレを見て、改修されたのねと言い、気分良さそうにお風呂に入ってくれた。そして、料理上手な米山幸子さんが腕を振るい、魚の煮付けや中華料理を作っては、離れの土志田恒夫の所へ、おっそ分けを持って行くと喜んで食べてくれた。また、孫達も、楽しそうに、米山のおじいちゃん、おばあちゃんと遊んだ。そうして1985年夏になり9人でハイエースに乗ってサマーランドに言ったり、山梨の八ヶ岳近くの高原にドライブにも出かけた。米山夫妻は大喜びで孫達の相手をしていて、多くの微笑ましい写真を撮った。秋には、山梨の温泉に1泊で出かけて、美味しい食事をとって楽しい1日を過ごした。そうして12月を迎えて、12月24日には鳥の丸焼きと大きなクリスマスケーキを買って近くの親戚も入れて15人で盛大なパーティーを開いた。もちろん、料理上手な米山幸子の手料理も好評で何時までも笑いが耐えなかった。それから10月に以前米山夫妻が住んでいた家が1800万円で地元の若夫婦が購入してくれ売れた。
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