文字数 558文字

 突然、空から一筋の光が降り注いだ。その光は思わず目を覆ってしまいそうな程眩く、だけどずっとみていたくなるような不思議な光だった。光は段々と大きくなり、まるで帯のように広がっていくと、その帯の中から更に輝く光の玉のようなものが現れた。光の玉は静かにゆっくりと落ちていき、地上からその様子を見ていた生き物たちは何事かと空を仰いだ。
「大きな卵だ」
「なにか災いの前触れではないか」
「あぁ……なんと神々しいんだ」
 生き物たちは口々に言い、その光の玉を独自の解釈で眺めていた。あるものは歌い踊りながら、またあるものは怯えながらと様々だった。

 光の玉がちょうど中間点を通過したときのこと。さっきまで眩い光を放っていた光の玉が、段々と黒ずんでいった。黒ずんでいく速度は地上に近付くにつれて濃くなり、あともう少しで地上に触れるというときには、既に真っ黒となっていた。その黒い光が地上に接すると、静かに地面を蝕んでいきやがて深い深い穴を穿って行った。その付近で玉を見ていた生き物たちはすぐにその場から離れ、その玉が沈んでいく様子をただ静かに見ていた。
 黒い玉が地中に沈んでいく様子を見ていた生き物たちは、深い深い闇の中でもその玉ははっきりと見えたと言っていた。そして、その玉を見ていた生き物の誰かがこう呼んだ。


─輝ける闇の誕生だ と。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み