独白【2】

文字数 920文字

私は、人を殺してしまったのです。許されざる罪を犯してしまったのです。ココに餌をやりながら今後のことを考えます。私が彼を殺したことはすぐに発覚するでしょう。頭のどこかでいつ死んでもいいかと思っている私ですが、警察に捕まえられると死刑の判決が出るまでに相当の時間がかかり、刑の執行まではさらに時間を要すると聞きます。流石にそれほどまでに長い時間自由を奪われることには恐怖しました。自首という文字が頭を過ぎりましたが、私はそのような勇気を持ち合わせていませんでした。

しばらくして、私は家を出てどこか遠い場所に行こうと考えました。名も知らぬ街に行き、ひっそりと息を潜めたいと思いました。捜査の手から逃れられるかもしれませんし、もともといつか誰も私のことを知らない場所で、誰とも関わらずに生きていきたいと夢見ていたのです。もし、警察の方が来て捕まったのなら、その時は甘んじて罰を受け入れようと決意しました。]

しかし、そうなると困るのはココのことです。運転免許すら持っていない私が、子猫を抱いて遠くに向かうのは不可能でしょう。どうしたことかと頭を抱えていると、餌を食べ終えたココが私をじっと眺めていることに気がつきました。その顔はいつものように甘えた表情ではなく、私が置かれている状況を理解しているように見えました。その時、私は確かに聞きました。「僕を殺して。このまま置いていかないで」と。ココの口は開いていませんでしたが、確かに私はココの声を聞いたのです。続けてココは話します。「こんなに寒い季節に外に放たれても野垂れ死んでしまう。かといって、この部屋に置いていかれてもいつか飢えて死んでしまう。そんな苦しい死に方はしたくない。だから、今ここで殺して。決断して。」

ココは私に、一夜にして二つ目の大罪を犯してほしいと懇願しているのです。しかも、咄嗟に殺してしまった彼とは違い、意識的に愛するココを殺せというのです。確かにココが言っていることも一理ありました。外は、幼い子猫が保護無しに生きていくには厳しい寒さでした。そして私には身近に頼れる方もいないので、この部屋に居ても餓死してしまうでしょう。私は決断を迫られました。この手で愛しい子猫を殺すか否か。
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