天使(仮)

文字数 701文字

「お帰りなさい」
 なんで、ここにも居るんだ偽看護師。何しに来たんだ、偽看護師。
「退院は出来ても、完全に体調が回復するまでは、色々と大変な事があると思いまして」
 いや、このドッキリが先ず大変なんだよ、勘弁してくれ。
「病院で食べたメニューを参考に、人間の体に良い料理を作っておきました」
 実は、途中のスーパーでおにぎり等を買ってきている。それを伝えて追い出そうとした時だった。偽看護師に羽根が生えた。偽白衣の天使が、天使みたいな見た目になった。
「驚きました? 驚きましたよね? これが、グレードが上がるってやつです。これで、また出来ることか増えました。やっぱり、貴方にはバフ効果がありますねえ」
 嬉しそうな天使(仮)と、見た目だけは再現された病院食。まさか、この為に人の病院食を食べたと言うのだろうか。
「これからは、私が食べたことのある料理を、私の力だけで再構築出来ます! 食べて理解、材料を分子レベルまで分解、料理を再構築。ね、とてもお役立ちでしょう?」
 役立ちそうではある。だが、再構築可能なのは、天使(仮)が食べたことのある料理限定なんかい。嫌だな、延々あのメニューが出てくるのは。
「なので、これから暫く滞在しておきますね!」
 そうして、有無を言わせない感じに天使(仮)がやってきた。それから、天使(仮)が満足するまで、自分は再構築料理を食べささられ続けれた。なお、天使(仮)に美味しいものを与えれば、本当に再構築してくれる。そこは、正直に凄かった。そして、そのおかげか元からあった体の不調までも消え、そのタイミングで天使(仮)も姿を消した。残された証拠は何もなく、ただ記憶だけが自分に残っている。
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