第1話
文字数 889文字
「二十四日じゃなくて?」
「うん、明日」
今日の夕食はパエリヤ風の炊き込みご飯に、レタスとアボガドのガーリックマヨネーズソースサラダ。あとはカボチャのスープと、食後には昔ながらの手作りプリンを冷やしてある。若宮さんは湯気の出ているカボチャのスープをスプーンですくうと、まるで今思いついたかのように依頼予定日を告げてきた。突然予定を入れられることはよくあるので驚きはしないが、日付に違和感があったボクは再度確認する。
「明日は二十四日じゃないですよ?」
「今日が何日かうる覚えだけど、二十四日は明日ではないね」
それだけ言うと、若宮さんはスープを口に含み官能的に飲み込む。いつも通りの情景を目に入れながら、ボクはどうも納得できないでいる。今月の一番近いイベント日といば二十四日だ。若宮さんがボクを呼び戻したり予定を入れるなら、その日が妥当なはずだが……明日は何もない普通の日だ。
この人は人手の多いイベントへ出かけるのを嫌うくせに、そこへボクが彼女と出かけると呼び戻す癖がある。だからこそ二十四日と二十五日に休み取り、彼女へ断りを入れ、連休をすべて若宮さんに使う準備をしていたのに――明日とはいったいどういうことだ?
「明日ですか……」
「そう、明日。君、休みだろ?」
明日は彼女と会う約束を入れている。ただ、それは二十四日と二十五日をあなたに使うための代替日なんですけど。
「はい……休みですね」
「二十四日の方がいいの?」
訝しがるようにこちらをうかがう若宮さんに気づき、あわてて返答する。
「あ、いえ。明日ですよね? 二十四日でも二十五日でもない明日なんですよね?」
「そうだね、イブでもクリスマスでもない明日だね」
「平日ですね。何もない、ただの平日……」
「………………」
「………………」
「嫌なら別に――」
若宮さんが自分の意見を引っ込め始めたので、さらにあわてて首を横に振り否定する。
「大丈夫です、行きます。……でも、明日は二十四日でも二十五日でもないですよ?」
「…………君、大丈夫?」
そうしてボクらは二十四日でも二十五日でもない、ごく平凡な普通の平日に依頼人の自宅を訪れることとなった。
「うん、明日」
今日の夕食はパエリヤ風の炊き込みご飯に、レタスとアボガドのガーリックマヨネーズソースサラダ。あとはカボチャのスープと、食後には昔ながらの手作りプリンを冷やしてある。若宮さんは湯気の出ているカボチャのスープをスプーンですくうと、まるで今思いついたかのように依頼予定日を告げてきた。突然予定を入れられることはよくあるので驚きはしないが、日付に違和感があったボクは再度確認する。
「明日は二十四日じゃないですよ?」
「今日が何日かうる覚えだけど、二十四日は明日ではないね」
それだけ言うと、若宮さんはスープを口に含み官能的に飲み込む。いつも通りの情景を目に入れながら、ボクはどうも納得できないでいる。今月の一番近いイベント日といば二十四日だ。若宮さんがボクを呼び戻したり予定を入れるなら、その日が妥当なはずだが……明日は何もない普通の日だ。
この人は人手の多いイベントへ出かけるのを嫌うくせに、そこへボクが彼女と出かけると呼び戻す癖がある。だからこそ二十四日と二十五日に休み取り、彼女へ断りを入れ、連休をすべて若宮さんに使う準備をしていたのに――明日とはいったいどういうことだ?
「明日ですか……」
「そう、明日。君、休みだろ?」
明日は彼女と会う約束を入れている。ただ、それは二十四日と二十五日をあなたに使うための代替日なんですけど。
「はい……休みですね」
「二十四日の方がいいの?」
訝しがるようにこちらをうかがう若宮さんに気づき、あわてて返答する。
「あ、いえ。明日ですよね? 二十四日でも二十五日でもない明日なんですよね?」
「そうだね、イブでもクリスマスでもない明日だね」
「平日ですね。何もない、ただの平日……」
「………………」
「………………」
「嫌なら別に――」
若宮さんが自分の意見を引っ込め始めたので、さらにあわてて首を横に振り否定する。
「大丈夫です、行きます。……でも、明日は二十四日でも二十五日でもないですよ?」
「…………君、大丈夫?」
そうしてボクらは二十四日でも二十五日でもない、ごく平凡な普通の平日に依頼人の自宅を訪れることとなった。
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