パピーちゃん  (さわこの場合・おまけ続編)

文字数 2,479文字

ピーンポーン










チャイムを鳴らしてから、わずか数秒後、










ガチャり









「お疲れ様~~~♪」









パピーちゃんがお出迎えしてくれる。








さわこ「ただいま。おつかれさま」






キャンキャンとないて、待ってたぉ~っていう感じで、廊下をもうダッシュしてくる子犬に似ているから、あだ名はパピーちゃん。さわこのこころの中だけで呼んでいる。彼はそんなあだ名が自分についてることは、知らない。








カチャン






パピーちゃんはドアが閉まると、
すぐ抱き締めてくれる。強くて少し痛いくらいの。











「おかえり」






それから
ちょっと物足りないくらいの
優しくて静かな長めのキスを首にしてくれる。









大事に想ってくれてるって
伝わってくる。







そしてさわこの唇を奪う。
唇なくなっちゃうんじゃないかって思うくらい
パピーちゃんはさわこの
下唇も、上唇も、
間を割って、こじ開けて、その奥の奥の奥も
味わい尽くし、食べつくす。










しばらくキスしていると
そのままキスしながら廊下を歩いて、
ベットルームに直行。










はやくはやくはやくはやく.... ボタンがもどかしい...

はやくはやくはやくはやく... はやくして..

はやくしてほしいの..















障害物競走をしているみたく お互いに服を早々と脱ぎ、 欲しくて、欲しくて、ずっと 欲しくて、どうしようもなくて、
「まだあげないよ、我慢していてね」と言われているかのようなおあずけ状態で、ずっと我慢してて、その気持ちが ようやく解放されて、
その反動はひどく、
急速に 激しくお互いを求め合い、
我を忘れて、
何度も何度も 打ち寄せては返す 波のリズムのような その気持ちよさに酔い
さわこちゃん と何回も呼んでくれるパピーちゃんの声が愛おしく










「気持ちい?」




「うん」



「我慢してたの?」





「うん。ずっと欲しかったよ」





「もっと欲しいよ.. いっぱい触って 」









時間を忘れて
どこまでも どこまでも
甘くて気持ちのいい時間は過ぎ








果てた。














孤独で心も体もカラカラに乾いているのが当たり前すぎて、普段気づかない寂しさに、触れ合う事で気づかされ、その寂しさをパピーちゃんは埋めてくれた。
さわこは 誰にも見せない本当のさわこをパピーちゃんにだけ見せた。
そしてパピーちゃんも 私と同じ風にきっと感じていると 横にいるパピーちゃんの気持ちよさそうな寝顔を見て さわこは思う。














夜風吹いて、君の匂いが消えて..
またひとりぼっちになったら どうしよう..














不安定な気持ちを残しつつも、、

そんな誰しもが経験している平均的な普通の恋愛を、さわこもすることができていた。










約3年間のいつまでも付き合うことの出来ない曖昧な関係に終止符を打ったさわこは、そこから意外にも早めに、数カ月して、彼氏が出来た。意外と言うか..意図的に、さわこは 早く記憶を塗り替えたかった。でも、誰でもよかったわけではなかった。そこまで、やさぐれているわけでもなく、、 優しいパピーちゃんと出会えて、ただ奴の口も声も髪も目も匂いも手も早く忘れて、早く自分をパピーちゃんのものに、して欲しかった。
もちろん、、さわこの頭の中からすべて奴は いなくならない。記憶というものは消せないから。消したくても。





でも消したいと思っていた記憶も時が経つと、あー、あれも良い思い出だな、今になって思えるな と気持ちが変わってきたりもする。
だから無理に忘れようとせず、学んだ事もあるのだから、次からの恋愛に活かせば良いのである。

人間は忘却の生き物だ。全てを細かく記憶できていたら、恥ずかしかったり、悲しくて立ち直れなかったり、また怒りが出てきたり、先に進めないでしょ。良い思い出だけが記憶に残れば良いの。そして人間の脳は 時間が経つにつれて、そのように出来ているみたい。

時間は心の傷を癒すお薬なのだ。











彼はまじめで仕事が出来て、一途だ。
一途という所が気に入った。
正式に付き合うことになり、さわこは、彼氏が出来た。






彼が新車を買った時は、ナンバープレートの数字をさわこの誕生日にしてくれた。






「僕と結婚しても、そんなに稼ぎはないし、さわこちゃん 贅沢はできないよ、」



パピーちゃんは、背伸びしない。 自分のできる範囲でしか何かをしてあげられないけど、でも、さわこの事をしっかり 想ってくれることが、さわこに伝わった。そんなパピーちゃんのことがさわこは大好きだ。


お金を沢山持っている人が良いと思った時期もあったが、お金は協力して自分達で作り出すのも良いと思うさわこなのであった。人生は色々ある。お金が苦しい時や辛い時も、元気でいれさえいれば、なんとでもなる。2人が信頼し合っていれば、喧嘩すらも 時が経てば すべて良い思い出、笑い話になる。きっとそうだと、さわこは思っている。







さわこが仕事が終わり、彼の住むマンションに行くと、いつも優しく迎え入れてくれて、
こんなあたたかい穏やかな恋愛もあるんだと、幸せを噛み締めていた。





一緒に部屋で映画を観たり、休日は美味しいコーヒー屋さんやパンケーキの店へ出かけたりもした。





「さわこちゃんと色々なところに出かけたいなぁ」

「うん、楽しそうだね、また出かけるところ、調べてみようね」



そんな感じで、楽しい落ち着いた日々は過ぎていった。本当に心の温かい人だった。










でも人生は、、わからない。







時に背中を押されて、
お互いが離れたくなくても、離れなくてはならない時が訪れ、しずかに終わっていく恋愛がある。









人生とは ご縁なんだなと さわこは思った。






「出会えてよかった、楽しい時間をありがとう。私の人生の記憶の中にいてくれて、パピーちゃんありがとう」








さわこはパピーちゃんの幸せを願っている。




















またひとりぼっちになっちゃったな..















そして さわこは

神様に どうしたら幸せになれるかを

聞きたくて


しばらくして

女の親友と 出雲大社に でかけた。










そして神様は さわこに 大事なことを教えて下さり 今はさわこは 優しくて頼れる人と出会い、ずっと長く平穏に 暮らしている。
さらに友人にも恵まれている。














焦らずに








大事な人達を大切にしながら











こうなりたいと求めていれさえすれば、













必ず そう幸せは 訪れるのだ。






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