エブリスタ

文字数 1,517文字

 え~、閑話休題での筆者の危惧が現実のものとなりつつあり、じょじょに「ぼくのかんがえたノベデイせいかつ」的な中学文芸コラムが幅を利かせはじめてきた今日この頃、予告通り第四回目でとりあげるのはもと「E★エブリスタ」こと、エブリスタである。
 そしてじつはここ、筆者が唯一「惨敗記録を更新しつづけた」無念のサイトでもある。
 というのも――。
 このサイトこそまさに、善くも悪しくも「文芸サークルのノリ」を、自社レーベルの強みを活用して商業レベルまで引き上げた、稀有な投稿サイトだからだ。
 負け惜しみといえば間違いなく筆者の負け惜しみではあるのだが、それでもエブリスタにおいてランキングを伸ばすには、「エブリスタ独自のルール」を厳守する真摯な姿勢と心構えが必要不可欠となってくるだろう。
 その最たる機能が、エブリスタ恒例の「相互スターぽちぽちシステム」である。
 まあ、簡単にいってしまえば、お互いがお互いの小説をぽちぽち評価して、ランキングを上げてこうじゃありませんかシステムといったところになるだろうか?
 しかもエブリスタにはその交流をスムーズに進められるよう、作者同士のフォローやいいねが記名で通知されるシステムまで完備してある。つまり投稿初心者でも「フォローしてぽちぽち」を頑張れば、自分もぽちぽちしてもらえてランキングが上がるというわけだ。
 ……ただこれ、やってみるとわかるが向き不向きがある。
 たとえジャンルランキングであっても、自作を上位まで押し上げたければ、一日に相当な数のぽちぽちをして、相手にぽちぽちしてもらわないといけなくなるからだ。
 筆者などは向かないタイプの代表格なのだろうが、そのうちぽちぽちのほうが忙しくて自分の原稿を書いてる暇がなくなってくる。「中身を読まずにとりまぽちぽち」という手もあるにはあるだろうが、それはあまりにも作者さんに失礼だからね。ぽちぽちするからには、筆者はちゃんと中身も読んで納得したいタイプなのである。
 ただ、このシステム自体が悪いと言っているわけではなく、この作者同士のサークル的な結びつきのおかげで、「なろう作文」だの「チャイポルまがいのラノベ」はほぼシャットアウトし、独自の路線を作り出すことには成功している。実際、エブリスタで一番強いのは恋愛ものとBLで、ホラー系もそこそこ強い。
 ただしどちらにしろ「独自の売れ線」が確立されており、たとえばホラー作品とかになってくると、「ルームシェアした同居人が食人鬼でした」とか「イケメン坊主の華麗な物の怪退治」のような、もろ一昔前のレディースコミックみたいなB級ホラーが大人気。
 それでも時間をかけて伸ばしつづけた互助会システム的なスタイルが功を奏し、「そこにハマる作品」さえ書ければ、コミケやコミティアの人気サークルのように、「好きなものだけを書いてプロになれる」という夢のような現実もある。
 ……筆者にはちょっと難しかったけど。
 そして最後に投稿者としての使用感ではあるが、なんというか「携帯小説時代のテンプレートそのまま」といった感じで、クセがありすぎて筆者にはむっちゃ使いづらかった。ここに関しては、筆者の利用した投稿サイトで最低ランクと言ってもいい。
 ――とまぁ。
 そんなわけで、総合評価としては若干「中」寄りの「上」といったところだろうか?
 何度もくどくど恐縮の限りではあるが、投稿者自身のコミュ力が高く、かついろいろな意味で「ハマり」さえすれば、かなり居心地はいいサイトではないかと思われる。
 といったところで、次回は最終回。「ステキブンゲイ」のレビューでお会いしましょう。

☆☆☆☆★

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