第1話
文字数 618文字
勤めていた会社が倒産し、俺は無職となった。
再就職を目論んで、履歴書を書いては面接を繰り返してみたものの、結局どこにも受からない。
やがて就職活動にも疲れ果て、アルバイトもせずに引きこもりを続けるようになっていた。
幸いなことに両親は共に寛容で、父親は既に定年退職を迎えていたが、多額に支給される年金のお陰で生活には困らないらしい。かと言って親の世話になってばかりもいられなかった。働き盛りの三十五歳、未だ独身で友達もいない。
引きこもりになってから対人恐怖症になった俺は、人と会うのが億劫になり、最低限の買い物しか外出する気が起きないでいる。一週間、部屋に籠るのは当たり前になり、二週間以上外出しない時もまれではなかった。最低限の買い物以外、外出といえば、せいぜいコンビニか、古本屋でマンガを立ち読みするくらいだった。
そんなある日の事だった。
何となくテレビを眺めていた時だ。特に関心のない情報番組だったが、とある人物に目が釘付けとなった。
画面には“何もしない男”というテロップが映し出されている。名前はAさんとなっており、顔にはモザイクがかけられている。
キャスターによると、Aさんも俺と同じく勤めていた会社が倒産して以来、引きこもりがちになったらしい。その後、完全にニートととなり、やはり親のすねをかじっていた。
Aさんはそんな自分に嫌気がさして、あるアイデアを実行したらしい。
それは
再就職を目論んで、履歴書を書いては面接を繰り返してみたものの、結局どこにも受からない。
やがて就職活動にも疲れ果て、アルバイトもせずに引きこもりを続けるようになっていた。
幸いなことに両親は共に寛容で、父親は既に定年退職を迎えていたが、多額に支給される年金のお陰で生活には困らないらしい。かと言って親の世話になってばかりもいられなかった。働き盛りの三十五歳、未だ独身で友達もいない。
引きこもりになってから対人恐怖症になった俺は、人と会うのが億劫になり、最低限の買い物しか外出する気が起きないでいる。一週間、部屋に籠るのは当たり前になり、二週間以上外出しない時もまれではなかった。最低限の買い物以外、外出といえば、せいぜいコンビニか、古本屋でマンガを立ち読みするくらいだった。
そんなある日の事だった。
何となくテレビを眺めていた時だ。特に関心のない情報番組だったが、とある人物に目が釘付けとなった。
画面には“何もしない男”というテロップが映し出されている。名前はAさんとなっており、顔にはモザイクがかけられている。
キャスターによると、Aさんも俺と同じく勤めていた会社が倒産して以来、引きこもりがちになったらしい。その後、完全にニートととなり、やはり親のすねをかじっていた。
Aさんはそんな自分に嫌気がさして、あるアイデアを実行したらしい。
それは
何もしない
という前代未聞の活動だった。