序章 過ぎ去りし物語への案内文

文字数 535文字

イブとノア。
隣り合う世界は、長く互いの存在を知らないままだった。
あるとき滅びの危機に瀕したノア人が、“魂の還る聖地”レ・ユエ・ユアンを抜けて、イブ世界に到達。
聖者を名乗るノア人・ユリアスによって、イブ世界に"雨"が持ち込まれた。
以来1000年間、イブ世界は彼らによって歴史や宗教、『魂』すら操られていた。

故郷アルマスを奪われ大陸中を放浪していた、剣士カインと幼き射手クリスティ。
ふたりは、帝国皇女のマキナと出会ったことで、知らずノア世界との戦いに巻き込まれていく。
やがて彼らは大きな犠牲を払いながらも、"雨"と、悠久に続く『魂』の支配を打ち破った。


私たちは知っている。命の歩みは、激情は、只一人が引き起こすものではないことを。
『魂』は繋がっている。
滅びて、レ・ユエ・ユアンへと還って、ふたたび生まれつく。
これは、『魂』が想起する、過去の物語である。



……カイン達の時代から、遡る事300年。
イブ大陸北東地域、現在は“水の都”トリアがある一帯には、かつて400年間もの栄華を誇った大国があった。
マリウス大河を中心に戴き、法王領と同等の広大な領土を誇った、ティ・ルフ王国。
かの国には、“永妃”と呼ばれて民に慕われた、ある女王が存在した。
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登場人物紹介

ルネア

かつて大陸東部に存在したティ・ルフ王国の女王。〝永妃〟とも呼ばれる。

心優しく博愛的な女性で、やや抜けている所がある。

実はノア側の人間で、王族の〈魂〉を乗っ取って生きている。

ジョゼフ

ルネアの側近。王家に従者として代々仕える一族の末裔。名うての剣士。

忠実で礼儀正しく、気遣いに長けており、影からルネアを支えている。

褐色肌で、白い髪と青瞳を持つ。

テミス

ノア人で、ごく一部の臓器以外が機械でできている機械体(サイボグ)の女性。

反政府組織〝アナンシの炎〟に所属している、リーダー的存在。

ルネアの姉。冷静かつ生真面目で、正義感に溢れる性格。

ロミネ

ノア人。〝アナンシの炎〟の一員。テミスの片腕兼、事実婚状態の恋人。

常に明るく朗らかで、どこか頼りなく見えるため、周囲の人からよく好かれる。

テミスと妹ルネアに対して並々ならぬ感情を抱いている。

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