第3章 昔ばなしの定義

文字数 426文字

第3章 昔ばなしの定義
 『まんが日本昔ばなし』は、94年の終了後、再放送が続けられています。それは昔ばなしが社会にとって共有の文化財産だと認知されているからでしょう。しかし、昔ばなしは身近ですからわかったつもりになりがちです。検討する意義は依然としてあります。なお、以下で伝承地域に言及する際、主に「まんが日本昔ばなし~データベース~」を参考にします。

 昔ばなしは口承文学に属します。文学は自分を含む誰かに語ることを前提にした実用以上の言葉の組織化と定義できます。この実用はその対象の直截的な利用のことです。口承文学はその行為の際に文字に依存しないものを指します。昔ばなしは、前近代に生まれ、非専門家による口承の短い物語です。

 昔ばなしの「昔」は近代以前の時代を意味します。しかし、この時期区分は厳密ではありません。柳田國男は『遠野物語』に明治期の話も収めています。人々の前近代的な認知が明治維新を迎えた瞬間に近代的なものに切り替わるはずもありません。
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