第3話 【書評】水俣曼荼羅 製作ノート(2021.12.9記)

文字数 976文字

【「全身 原一男」】

1.書名・著者名等
原一男+疾走プロダクション (著)
『水俣曼荼羅 製作ノート』
出版社 ‏ : ‎ 皓星社  発売日 ‏ : ‎ 2021/12/9 ‎ 255ページ

2.兎平亀作の意見です

映画「水俣曼荼羅」の上映館で「プログラム代わりに」売られていたのがこの本。
「どうせ企画モノだろう」と、さほど期待もせず、取りあえず購入。帰宅後、本書を一覧して驚いた。

全256ページ中、採録シナリオが200ページを占める。それも、かなり克明なヤツである。正に「全身小説家」ならぬ「全身 原一男」本。

お中元とお歳暮とクリスマス・プレゼントを一度にもらったようなお得感である。これほど編集に手間ヒマかけて、¥1,980-でペイするのだろうか?(オット、余計なお世話か。)

原一男監督の持論は「映画とは人間の感情を描くもの」。
この言葉通り、映画「水俣曼荼羅」は、シェイクスピア劇のように楽しむこともできるドキュメンタリーだ。(決してフェイク・ドキュメンタリーだと言っている訳ではありません。どうか誤解無きよう。)

それと同時に「水俣曼荼羅」は、けっこう情報量の多い映画でもあるのだ。「映画の中で、いつ、誰が、こんなことを言った」と、シナリオ本にちょいと書き込みして、フセンでも貼っておけば、自分用のミニ・データベースになる。DVDを購入したのでは、書き込み/フセンと言う訳にはいかない。

つまり、映画を見ないでシナリオだけ読んでも、けっこうタメになる。
(もちろん、万障お繰り合わせの上、映画館に足を運んでほしいものです。見なけりゃ本当の味が分からない映画なんです。)

本書によって、「水俣曼荼羅は見て面白く、なおかつ資料的価値もある映画だ」と言う評価が確立したら、映画好きの活字中毒者として、とてもうれしい。

特に、この映画が大きくフィーチャーしている「水俣病の中枢神経障害説」は、未完成ながら、かなり論争を呼びかねないものだ。専門外の私にきちんとした評価はできないが、提唱者の浴野 成生(エキノ シゲオ)教授は、もしかしたらメンデルやコペルニクスみたいな科学史上の先駆者になるかもしれない。

映画「水俣曼荼羅」を見終わると、そんな気になる。それだけの説得力はある映画なのである。

書評なんだか、映画の宣伝なんだか分からない一文になってしまった。どうかご容赦のほどを。
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