序章のようなもの……。

文字数 778文字

 己の未熟さに気が付きもせず、一体幾つの山川を、越えようとして越えられなかったのだろうか……。
 それでも未だそれを越えようと夢見る己への嘲笑、欺瞞、若しくは言い訳のようなものなのかなぁ……。
 何ぞと、回らぬ脳細胞を懸命に掻き混ぜては見るが、所詮幾重にも絡み纏わりついた糸は、その端緒さえも見つからない。叶わぬこと、己の無謀を嘲笑うもう一人の自分をそっぽ見するだけ……。
 未熟さに挑戦する、若しくは誤魔化すには、もっと勉強?するか、諦めるかのどちらかななのかぁ……。
 だったら、初めから修飾如きものをかなぐり捨てて、自分の無知のままに書いてしまえばいいと、ある時、ふと気付いた?のである……。いや、気付かされたのかな。
 とまぁ、居直り気味の言い訳を貪るように探しながらも悪戦苦闘を繰り返しているうちに、凡才は、それで満足の偏屈境地にどっぷりと沈み込んでゆく。
 なぁに、言い訳なんていくらでもその辺りに転がっているさと、時折は自己陶酔の湯船に身を委ね、己を振り返ることもない……。

 華やかな祭りの山車ものを曳くでもなし、辺りを包む静やかな霊力もなし。となれば、、もう何も要らぬではないか。下手糞なまんま、至らぬ表現力のまんま、登場人物の姿さえ舌足らずの「朧」なまんま、恬淡、淡々という言葉をこじつけながら、読み手の想像力に頼ろうとする情けなさ……。
 それも好いじゃないかと、及ばぬことを諦めの彼方にしっかりと置きながら、僕は、小難しい顔を無理に笑い飛ばし、なおさら小難しい顔を作りながら、己の「書きたい」という欲望に挑戦するのである……。

 言い訳はまだまだ続く、が、これもあまり性分にそぐわない。好いじゃないか、それがここに羅列された「小説擬き」の神髄なのだと居直れば、「書きたいということへの憧れ」は、容易く甘露の中に満たされはするのであるから……。
  

 
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