架神恭介

文字数 3,628文字

こちらにて架神恭介さんが執筆されます。他の方は書き込みをお控え下さい。
やあ、僕は大便。
このお話のヒロイン、こがねちゃんのお尻からひり出される物体だよ。
これは、日本国の食料自給率低下を嘆く国士、高校一年生のこがねちゃんが、世直しの旅をするお話なんだ。

こがねちゃんがいつもどおり、早朝、精神を統一し、結跏趺坐の姿勢で世を嘆くところからお話は始まるよ。
「ふーっ、嘆かわしいのじゃ」
209X年、我が国の食料自給率はついに0.000000001%を割り込み、我が国は未曾有の食料危機状態へと落ち込み、餓死者が続出していた。
「国の基本たる農業を疎かにしてきたツケがここに来て爆発したのじゃ。このままだと我が国は破滅。なのに、誰も我が国の危機的状況に気付いておらぬのじゃ。こがねが動かねばこの国は滅びる……」
廃寺の中で座していたこがねは、スッと立ち上がると、ぺろりとぱんつを脱ぎ捨て、再び結跏趺坐の姿勢を取り、そして、下腹部へと力を込めた。
「フンッ!」
ブリーッ! ブビビビブリリリーッ! ブリリリ! ブビビビーッ!
おお! こがねの尻から勢い良く放たれる尋常ならざる量の大便!(すわなち僕) だが、こがねはなおも下腹部へと込める力を緩めることなく、むしろ気張り続けていく。
「フンッ! ハッ! フンッ!」
ブリリリーッ! ブビビビブリリ! ブビビ! ブリリリリーッ!
おお、見よ! 少女の体が……浮き上がった! そのあまりの排便出力により少女の小さな体が数十センチ宙へと浮き上がり、インドのヨガの達人の如くに浮遊しているではないか!
「ハーッ!」
少女がさらに気張り、さらに高度を増していく。堂内に安置されし巨大仏像と目が合った。その次の瞬間だ!
「フンハーッ!!」
裂帛の気合と共に、こがねの身体は急浮上し、廃寺の屋根を突き破って拘束射出! 尻から激しく茶色いものを噴出しながら、ロケットの如き勢いで宙を飛び立っていく。無論、地上を茶色いものでうず高く満たし、穢しながら。
少女が目指すは北の大地――、北海道!
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cagami

「みんな、ここが私たちに残された最後の地です」
レジスタンス組織の長、リリイ・パンナコッタが居並ぶレジスタンス兵たちの顔を見つめて、重苦しい声で言った。
「最初にやられたのは九州だった」
九州出身のレジスタンス、五平が言った。
「次にやられたのは四国……。オイのみかん農園も全滅でごわすよ」
四国出身の田所が言った。
「広島も、容赦なくクソに汚された……」
中国地方出身の山田が血涙を流して言った。
「大阪も……」「中部も……」「関東も……」「新潟も……」
各地の敗残兵たちが嘆きながら次々に呟いた。
「にっくきクソ女は青森のりんご農園をクソで汚し尽くし、既に北海道へと上陸しました。南部防衛軍との連絡は途絶。既に北海道南部の食料地帯はクソまみれになったと思われます」
「あの女……。日本の田畑、果樹林を一人でほぼ全滅させおった」
「このままでは……日本は滅びる!」
ああ、なんたる悲劇! こがねは知らなかったのだ。人糞は適切に発酵処理しなければ、農作物を根腐れさせてしまうことを! 少女の国を想う気持ちが、まさかこのような形で我が国の崩壊をまねこうとしていたとは!
「リリイ兵隊長! 来たぞ! クソ女だ!!」
「迎え撃て!!!!」
レジスタンスたちはライフル、ショットガン、バズーカなどを手に一斉に外へと飛び出した。

――おお、見よ!
クソ女だ! 結跏趺坐のクソ女が猛烈な速度でクソを撒き散らしながら、空中を高速飛行し、リリイたちが守る最後の聖域、北海道大小麦畑へと向けて突進してくる! ここがクソで汚され尽くせば、日本の食料自給率はゼロ%! 死!!!
「ぬぬぬ。どこかで見た顔の女……! また、あたしの憂国行動を邪魔しにきたな。でもこがね、負けないもん! フンーッ! ハーッ!」
こがねがさらに下腹部に力を込める! 凄まじい脱糞! 飛行速度にブーストがかかり、同時に小麦畑が激しく茶色に染め上げられていく!! 悪夢めいたWiiUスプラトゥーン!!!
「撃てーっ! 撃てーッッ!!!」
バキューン! バキューン!

リリイの指揮の下、農家たちの放った弾幕が脱糞飛行物体を襲う!
「ウオーッ!」
だが、見るがいい!
こがねは精妙な脱糞操作により、空中で巧みなる飛行制御を見せ、右へ左へと傾きながら、農家たちの弾幕を軽やかに交わしていく。これだ! これこそが関東上陸を阻まんとした自衛隊を一人で壊滅させた、こがねの実力だ!!!
そして、こがねが手にした棒を振り上げた!
「えいっ、えいっ、えいっ」
ぽかっ、ぽかっ、ぽかっ。
「アギャーッ!」
「ウギャアアア!!!!」
こがねの魔人の腕力により振るわれた木の棒が農民レジスタンス兵の頭をぽかっと殴るたびに、農家たちの頭頂が砕けて脳漿が噴出! 即死! 倒れた身体に容赦なく降りかかるこがねの糞の山!
恐るべき飛行能力、そして、同時に実行される焦土化。さらに棒による打撃。これが我が国を一人で壊滅寸前にまで追いやったこがねの魔人能力だ!
先に述べた通り自衛隊は既に壊滅。魔人たちも合同でこがねを迎え撃ったが、激戦の末に全滅した。いまや残る魔人はリリイ・パンナコッタただ一人なのだ!
だが、そのリリイも小麦粉から美味しいパンを作るだけの魔人に過ぎぬ。肉体能力は人を遥かに超えるとはいえ、異常なる空中戦を繰り広げるこがねに敵うはずもなし!
「リリイ兵長! もうダメだ!!!」
「おれたちはもうおしまいだ!」
「ええい、泣き言を言ってるヒマがあれば戦え! 最後の一兵になるまで戦い、この小麦畑を死守すんだ!!!」
「違う、兵長! おれたちはあんたに望みを託したいんだ!」
「なんだと?!」
「おれたちが小麦を収穫に行く! 命がけで、あんたがパンを作れるだけの! 小麦を!!」
「ば、ばかな。あのクソ女の糞爆撃の中、いま出ていけば死ににいくようなものだ!」
「それでも! 兵長! あんたに賭けるしかねえんだ! あんたのパンには不思議なチカラがある。あんたの作る最高のパンをあんたが食べれば……最強の魔人になる……そうすればクソ女とも渡り合える。そうだろう!?」
「…………分かった。頼むぞ、みんな!」
「「「ウオーッ」」」
農家たちは兵舎を飛び出し、一斉に収穫へと向かった! 手にしたカマで必死に小麦を刈り入れる。だが、それはクソ女の格好の標的だ!
「ウオーッ!」
ブリブリブリ! ブリブビビビビーッ!
農家たちの断末魔が小麦農園に響く! 地獄絵図! だが、生き残った農家たちは、刈り取った小麦をバケツリレーしていく。パンを作る謎の棒とかイースト菌とかを準備しているリリイの下へと向けて!
「兵長ーッ!!! こ、これをーーッ!!!!」
もはや死にかけの農家たちが差し出す小麦をリリイはガッシと受け取った。
「お前たちの魂! 確かに受け取った!!!」
リリイはパンをこねた! 焼いた! 涙を流しながら! 死んでいった兵たちのことを思いながら……。五平……田所……山田……。お前たちの届けてくれた小麦、決して無駄にはしない!!! 最強のパンを作り、最強のパンを食べて! 私が必ずあのクソ女を倒し……この農園を守り抜く! そう誓った。
リリイの魔人能力が高まりを見せる。リリイの全身が輝き始める。彼女の手の中に至極のパンが生み出される。
「これだ……! 私はついに至った……至高のパンに……究極のパンに!」
リリイは兵舎から飛び出した! その右手には輝くパンが!
「ウオーッ! 貴様、まだ生きておったか!」
「クソ女ーッ!!」
既に外は惨憺たる有様だ! 小麦畑は汚されつくされ、もはや無事な小麦は0.01ヘクタールも残っていない! あたりには死屍累々たる農家レジスタンスの姿!
人類の希望はもはやリリイただ一人!
「私は絶対に負けない! みんなの想いが詰まったこのパンを食べて……私は最強の魔人となり……必ず、お前を倒す!!!」
「面白い! 最後の勝負といこうではないか。この国を守るため、あたしも負けるわけにはいかない! ウオーッ!!!!」
こがねの脱糞強度が増大し、凄まじいスピードでリリイへと襲いかかる。
リリイは覚悟を決めると、右手に持ったパンを口へと近づけた。
だが、その時だ!
こがねのケツから放出されていた大便(つまり僕)が小麦の一つにより弾かれてピッと放物線を描いて飛んだ!

そして……そのうんこは……あああああーっ!!!!!
「オオエエエェェエエエエーッ!!!!!」
リリイのかぶりついたパンにべちゃりと付着!
リリイ、たちまち嘔吐! これは酷い! クソ試合だーッ!!!
「オエエッエエ……オオオェエエエーッ! オオゲエエエェェエ!!!!」
「えいっ」
ぽかっ。
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cagami

戦いが終わった後、その場に残されたものは、ゲロとクソにまみれた一人のパン職人魔人の死体であった。
おめでとう!

日本は滅んだ!!!!!!
終わり
30分です!おしまい!!

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登場人物紹介

名前:大盛小歌音(おおもり・こがね)
性別:女

特殊能力:うんボロス
無限にうんこができる。

キャラクター設定:
143cm。15歳。高校一年生。国士。
日本の食料自給率低下を嘆いており、フレッシュな肥料を届けるべく、全国を行脚している。

相手を倒したい動機:美しい国、日本のため戦う

名前:リリイ・パンナコッタ
性別:女性
能力:《パイ・パン・スコーン!》
自由自在にパンを作る能力。
この際に定義されるパンとは、麦を粉砕したものをメインの原材料として扱う、加工食品のことである。水分などを混ぜて捏ね、しばしば発酵を用いて焼き上げたもの。
作られたパンはリリイの実力により日本人向けに合わせられた美味しいパンとなっており、口に入れると中はふんわりして麦の香りが広がる柔らかな物が多い。ただしパイやスコーンといったサクサク、もしくはカリッとした食感が好まれるものはそれに準じない。
当然のことだが、食べても頭は爆発しないし、脳の判断機能に影響を与えることもないし、筋肉が異常に発達するようなこともない。
完成したパンの味や効果は、パンとしての概念を逸脱することはできないし、小麦粉も無いのに無からパンを生みだすことはできない。

相手を倒したい理由:
パンの美味しさを広めるため

設定:
世界中を旅していたパン職人。
先祖代々パン職人をしており、日本人の口に合う至高のパンを探して各地を渡り歩いていた。
彼女のパンは味もさることながら生産性も高く、一秒間に食パン30斤にもあたる分量のパンを量産することができる。ただし原材料は生産出来ないため、世界経済に影響を与えるほどではない。
今は日本に定住しており、パンの味を広めるべくパン教室を開いたりしている。
パンの他に好きなものはワインとビールで、休日はもっぱら飲み歩いている。ザル。

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