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文字数 1,079文字

 すると田辺君に電話があり。

「すみません、トラブルみたいで。
行かなきゃならなくなりました。
この埋め合わせは上司と相談して対処します。私は、これにて失礼します」

と佳世を置いて出ていってしまった。
参ったな・・・。トラブルか、こっちもだが。
 私は佳世と二人残されて鍋を突っついていた私には何も言えなかった。
 詫びるのもおかしなものだ。
 すると佳世が、

「はーっ、終わった。もう何で初バイトが、
あなたなのよ。事前調査しろと言いたいわ」

とご飯をガツガツ食べながら、すき焼きを食べ出した。私は笑うと、

「本当だな、あはは。笑ったよ」

と言うと佳世が、

「丁度良かった。話そうかどうしようか迷っていたの。一成が結婚するんだって。
一緒に住もうて言うのよ」

「良かったじゃないか。孫でも出来れば、
楽しいだろう」

「嫌よ。確かに大人しそうな娘だけど。
子供ができたら、女は変わるわよ。
姑が邪魔扱いされるのは目に見えるわ」

「そうとも限らないだろう」

「いえ、絶対そうよ、だから・・・。
その、たまに逃げて来ても良い?」

 えっ?!!

「ああ・・・。良いよ良いよ。あはは、
逃げてこい」
 
「泊まるけど、何もするなよ」

「あははは、学生時代みたいだな、あはは。
分かったよ」

 私達は学生の様に楽しく時間を過ごした。
すると、帰り際に佳世から、

「あなた結婚式で父親として挨拶してね。
頼むわよ」

と言われた。
参ったな・・・、
人前で挨拶するのは苦手だがな。

「ああ、〜分かったよ。連絡するな」

と言って別れた。
そして私は、山田君・・・まさか謀ったのか?
 だが、中々素晴らしいサービスだったよ。
あははは、君は天才営業マンだなと私は山田君に感謝した。

 ✳ ✳ ✳ ✳

 ここは総務省の一室。扉の札には、
 『ジョナサンプロジェクト』と書かれた物が貼り付けてあった。
 その部屋に山田はいた。そこへ田辺が現れ。

「鯛島さんは復縁しますかね」

「どうだろうね。
まあ、孤独死や自殺はないだろう。
それが、このプロジェクトだからね」

「はい、80件の契約で復縁又は交流が復活したのは12件ですか。多いのか少ないのか」

「まあな、困ったものだよ熟年離婚は。
お互い目的や展望が無いんだからね。
生活苦に陥るものが増え、女性は働けずに生活保護を受けるものまでいる。
国の負担は大変だよ」

「う〜ん、結婚って何なんでしょうね?」

「あはは、私に分かる訳もないだろう」

「そうですか。あっ、総理から進捗状況を報告するように、との連絡がありました」

「分かった。では、総理官邸に行ってくるかなこれでも、極秘プロジェクトだからね」

山田は、そう言うと総理官邸へと向かった。


 終わり。
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