た行

文字数 2,326文字

泰海(たいかい)騎士団】
 ホルンフェルス王国の海軍の総称。

【大峡谷】
 コランダム公国領北部の大地に穿たれた深く長大な谷。

大界湖(だいかいこ)
 世界最大の湖〈エリヒクライベル湖〉の俗称。

【タイン】
 ドノヴァン・ベーム博士と一緒に暮らすアトマ族の五つ子のうちの一人。髪をいちばん長く伸ばしている女の子。

【ダトー諸島連合国】
 大陸最南端部に位置する、無数の岬や湾や島嶼からなる連合国家。国民のおよそ七割以上が漁業関連事業に携わっているといわれる。

【タヒナータ】
 コランダム公国の首都。世界有数の古都として知られる。

【タフィ―川】
 タヒナータの都市を東西に二分するように流れる大河。その起源は大陸の北端部にまで遡る。

【炭素繊維剛化金属】
 炭素繊維と合成樹脂を組み合わせて生成される人工金属。比重が軽く、鉄の4分の1ほどの重量だが、強度、安定性、耐蝕性に優れる。しかしその製造には極めて専門的かつ複雑な工程と特殊設備が必要とされ、一般にはほぼまったく流通していない。カセドラの骨格の一部と全身装甲(鎧)、そしてレジュイサンス等の軍用飛空船の主材として用いられている。1730年代末期にホルンフェルス王国の〈ザムエルシャイト工業〉所属の研究員らが発案し、試験的な製造実験に着手したが、さまざまな問題に見舞われた結果一度はすべての開発計画が白紙化された。しかしその後、各国政府がカセドラ開発に着手しはじめるなかで再び脚光を浴び、国家からの潤沢な支援と補助を受けてまもなく製造法が確立された。

調律師団(ちょうりつしだん)
 戦後にホルンフェルス王国が各地の主都中枢に置いた特別諮問機関。それぞれの土地を監視・実効支配するための機関として発足したが、いつしか権力の腐敗と横暴を象徴する悪しき組織の代名詞となった。

【長老連】
 ホルンフェルス王国の国家最上層組織。国王に次ぐ権力を持つ。組織を構成する全員が初代国王と共に国を建てた貴族の正統な末裔。

勅定文書(ちょくじょうもんじょ)
 大戦終結期、親征に出る前にホルンフェルス国王トーメがみずからの意志で作成した文書。自身の身になにかあった時、その後に国家中枢機関(政府・軍関連組織)がとるべきさまざまな行動の指針が列記されている。基本的には後継者であるミロ王太子が新たな王に即位するまでのあいだ、全政府機関の運営は長老連と軍部上層による協議に基づいて行うこと、と記されているが、まさか自身が昏睡状態に陥ったまま長らくこの世に留まることになるとは考えておらず、結果的に長老連が幅を効かせる旧態依然とした国政が13年も続く一因となった。(※親征=君主みずから戦場に赴くこと)

【ツガ】
 顕世暦における12の月のうちの8番目の月。夏の頂点を極める月。

【『月の世界と渡り鳥』】
 1771年夏頃に世間の話題を集めた小説作品。主に空想科学や哲学を好む知識層を中心に評判を博した。

【ディアベッリ】
 コランダム軍の将軍ゼーバルト・クラナッハが搭乗するカセドラ。

【デビィ・コベリン】
 ユークレス共和国スークの町出身、同国首都ネーヴィル在住の獣医師。事実婚状態にある同性の恋人も、おなじく獣医師。医師の母と造園家の父を持つ。

【テル】
 ドノヴァン・ベーム博士と一緒に暮らすアトマ族の五つ子のうちの一人。前髪を左側で分けている男の子。

【テルル】
 数々の神話や伝承のなかにその存在が描かれている古代の楽園。人類発祥以前の時代にアトマ族の人々が築き住んでいたという言い伝えから、〈妖精郷〉とも呼ばれる。

【テンシュテット・レノックス】
 ホルンフェルス王国の貴族の一門レノックス家の長男。想河騎士団の副団長を務める若き才人。階級は中佐。非常に恵まれた容姿と稀有な美声、そしてどこまでも真っ直ぐな気質の持ち主。国王直々の命により、とある極秘任務の指揮を任されることとなった。古代神話の謎を片っ端から解明するのが、子どもの頃からのなによりの夢。

天秤竜(てんびんりゅう)
 絶滅危惧種に指定されている大型獣。頭部の骨格と(つの)を合わせた全体の形状が天秤のようなかたちをしていることから、この名が付けられた。ホルンフェルス王国が大陸北西部の森を暴き開発を推し進める以前には、数多くの群れが同地に生息していた。

伝話(でんわ)
 鉱晶通信技術を用いて遠隔地にいる他者と会話をすること、およびその通信機器自体の通称。これらの機器は正式には〈伝話器〉と呼ばれ、各種施設や家庭に置かれる据置型が一般的だが、持ち運びが容易な携帯型も近年開発・流通が進められている。

【トーメ・ホルンフェルス】
 ホルンフェルス王国43代目国王。歴代国王のうちで最も武勇に優れた王として知られ、「戦王(いくさおう)」と称えられた。権威主義より実力主義を好む気風のためにしばしば長老連とぶつかりあったが、軍人や経済人たちからは広く慕われた。

透矢(とうや)騎士団】
 ホルンフェルス王国軍の騎士団の一つ。主に隠密・諜報活動に従事する兵士や人員で構成される。

【特務小隊】
 カセドラ〈リディア〉を守護するために結成されたホルンフェルス王国軍の一個小隊。事の成り行き上、非戦闘員であるマノン・ディーダラス博士が指揮官を務めることになった。科学者たちと民間人の少女たち、それにアトマ族の女の子からなる、まさに名ばかりの(そして急ごしらえの)部隊。

【ドノヴァン・ベーム】
 かつてホルンフェルス王国中枢の科学開発部門を統率した科学博士。出身地はアルバンベルク王国。2エルテムを超す大柄な体格の持ち主であり、剣術や武道にも造詣が深い。剣術に至っては、コランダム古式剣術の〈錬峯〉の号を授かるほどの達人。ヤッシャ・レーヴェンイェルムとは幼馴染みどうし。1760年頃、突如として王都から姿を消した。以後の彼の行方を知る者はごく少ない。
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