夢で逢えるといいね

文字数 1,021文字

あぁ〜。
楽しい。

まさか、この歳でアイドルにはまるとは……。
人生なにが起こるかわからない。
でも今の私にはなくてはならないもの。
彼らにどれだけ元気や勇気をもらったことか……。

一番の相棒が息子になるとは思いもしなかったけど。
物心つくころから私と一緒にライブDVDを観まくっていた我が家の末っ子は、気がつけば私なんかよりよっぽど熱のこもったオタクになっていた。

息子を見ていると「これが正しいオタクだな」と思う。私なんてオタク(りょく)では息子に負けている。

小学4年生の息子は、もうすでに彼らのコンサートに4回も行っている。
贅沢だよ……と思いながらも、キラキラした目で真剣に楽しむその姿を見ると、また連れてきてあげたいと思ってしまう。

一度、神席が当たって彼らが目の前まで来てくれた。私には見向きもせず、一人ひとりが息子に熱いファンサをくれた。
息子が熱く一筋に推し続ける彼は、息子が握りしめる手作りうちわのメッセージをうんうんとうなずきながら読み、親指を立ててとびきりの笑顔をくれた。うちわを作ったのは私だけどね……。
でも、私は「息子の熱い思いが届くといいな」と願っていたので、その願いは叶った。

ファンの心を本当に大切にしてくれる彼らに感謝だ……。

神席はその一度きりで、あとは遠い遠い席ばかり。どの席も同じ値段だから、どうしても「チッ」って思ってしまう。
チャンスはどのファンも公平なのに、そんなこと思ったらだめってわかってるんだけど。

私がついポロッと「クソ席…」って愚痴ったら、息子に「観られるだけで幸せだよ!」と言われた。オタ心、ここでも息子に完敗。

今日の放送も楽しいなぁ〜。
このまったり感がすき。

まさか、息子もこっそり聴いてないよね。
「タイムフリー」という有難いサービスで明日でも聴けるんだから…。
でもあのオタ息子「やっぱりリアタイじゃないと」とか言いそう……。
ま、そこは詮索しないておこうか。

なんと言っても私の大切な、一番近くにいるオタ仲間だからね。
君のおかげでオタ活がますます楽しいよ。

息子の夢には、一途に愛する「推し」はなかなか出てこないらしい。

私の夢には、もう何度も出てきたけどね。それを息子に言ったら本当に悔しそうな顔してた。
でも、私だって担当する彼はなかなか出てきてくれない。
オタクあるあるなんだよ、きっと。

24時50分。

もうすぐ放送が終わる。

息子も聴いていたのかな?
明日は今日の分も早く寝るんだよ。

大好きな彼に夢で逢えるといいね。

おやすみ……。

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