#5.1 Go カート
文字数 3,012文字
むかしむかし、あるところに、お爺さんとお爺さんとお爺さんと3人の若者がいました。
最初のお爺さんは、かつて魔王と呼ばれ、好き放題な人生を送ったと聞いていますが、今はただの自己中なジジイです。
その次のお爺さんは、名前をアッ君といいます。勇者になり損ねた、ただの厄介なジジイです。
その次のお爺さんは、名前をシロちゃんといいます。三番目の勇者になり損ねた、ただの厄介なエロジジイです。
そして3人の若者、少年Aと少年B、少女Aは将来、勇者になるかもしれない若者達です。
最初のお爺さんは、かつて魔王と呼ばれ、好き放題な人生を送ったと聞いていますが、今はただの自己中なジジイです。
その次のお爺さんは、名前をアッ君といいます。勇者になり損ねた、ただの厄介なジジイです。
その次のお爺さんは、名前をシロちゃんといいます。三番目の勇者になり損ねた、ただの厄介なエロジジイです。
そして3人の若者、少年Aと少年B、少女Aは将来、勇者になるかもしれない若者達です。
どんぶらこのスイート・ポテト号が南の島に到着しました。接岸したら、わんさかと人が溢れ出てきました。その流れに流されてマオ達も押し流されていきます。そこに身なりのいい男性が近づいてきました。殴るのでしょうか。
マオが嬉しそうにその男性を突っ突きます。何がそんなに嬉しいのでしょうか。
マオの顔から喜びの笑顔が消えていきます。人生の全てを失ったような顔です。
途端に態度を変えるマオです。恥ずかしくて見ていられません。アッ君は全然関係ない方角を向いています。シロちゃんは……目を細めて何かを探しているようです。
マオの顔から消えていた笑顔の代わりに、何やら得体のしれない、いやらしい表情が浮かび上がってきました。それはシロちゃんも同様です。アッ君は、どさくさに紛れて何か盗めるものを物色していたようです。
アッ君が振り向くと、他の二人は既にそこにはいませんでした。他の二人は『あんなこと』に釣られて迎えに来た男性の後を高速移動中です。
マオ達は豪華な観光バスの前に立っています。これに乗るのかとワクワク・ドキドキのマオです。何時になったら乗り込むんだよバカ野郎、とマオが地団駄を踏んでいると、そのバスが走り出してしまいました。
バスが通り過ぎて見えてきたのは、よくゴルフ場で見るカートが止まっています。
半泣きのマオです。それを突き飛ばしてアッ君とシロちゃんがカートに乗り込みました。
アッ君は運転者の隣に乗りながら腕を組んでいます。キョロキョロ見回すのはお馴染みです。
応えたのはシロちゃんです。マオは頬を膨らませています。
暫くしてカートは断崖絶壁の岬付近を走行しています。落ちたら……考えたくもありませんね。そこで何故かカートが止まってしまいました。
暫くしてカートは断崖絶壁の岬付近を走行しています。落ちたら……考えたくもありませんね。そこで何故かカートが止まってしまいました。
船長の友人に催促されるままカートを降りる3人です。ここで崖の下を覗き込む3人もお馴染みです。その隙にカートが3人を置いて走り出しました。それをマオが追いかけます。
船長の友人は手を振りながら去って行きました。何もない、落ちたら危険な岬の先端です。
それに答えるかのように一機のドローンが飛んできました。これにピンときたマオです。
アッ君が真っ先に反応しました。さすがは敗者です。
おや、最初はやる気があったようなマオでしたが、話の流れで逃げることにしたようです。
3人揃って駆け出しましたが、もう時は遅かったようです。前の方から人が歩いてきます。
アッ君が立ち止まって叫びます。姿はまだよく見えませんが、その気配を感じ取ったのでしょう。さすがは敗者です。
アッ君が狼狽え始めました。先程の『話せば、分かる』という言葉はどこに行ったのでしょうか。
とうとうやってきました。成り行きとはいえ魔王としての、国を賭けた戦いです。もう、四の五の言っている場合ではありません。私は高みの見物です。
勇者候補の3人が、その姿を現しました!
勇者候補の3人が、その姿を現しました!
そうです。あの3人です。図らずとも師弟対決の様相も含んでいます。さぞかし複雑な気持ちでしょう、シロちゃん。
シロちゃんは全く動じていないようです。自己中のシロちゃんです。セクハラ行為で何が分かったというのでしょうか。ただ触りたかっただけでしょうが。
マオは一歩前に出ます。何か言いたげですが、転びそうです。
動揺したのでしょうか。勇者候補3人が顔を合わせて何やら相談です。
少年Aが政府に確認しています。政府側もドローンのカメラ越しでこの状況は見ているはずです。暫く、静寂した時間が流れます。緊張する場面です。私も緊張してきました。ワクワク・ドキドキが止まりません。
さあ、出ました。政府の回答です。それは『目の前の敵を倒せ』です。その理由は勇者候補以外は全て敵であること、目前にいる者は、それがどのような所属、身分であろうと敵国の者であることには変わりはない。よって全ての敵を撃破、殲滅せよ、です。