武士とスライム 其の二

文字数 515文字

して、この私に何か用でも?
さて、その事だが……
勇者は手を打って、しばらく思考にふけってしまった。
そう、彼は”武士語でスライムに話しかける”という初期設定以外、何もなかったのである。
(まさか主旨を問われるとは……予想外の展開だ)
そこで勇者は、打開策を思い立った。
少々強引だが、お主を……斬る!
ほう……?
成る程、それがそなたの御用であったか
いかにも、な
よろしい。抜きなさい
…………。
勇者は言われるままに抜刀し、鋭利な刃先をスライムに向けた。
風が吹いている。草葉の乾いた音が涼しげにただよっていた。
スライムは静かに口を開いた。
初めに言っておこう。私のHPは5、ないし4だ
やはり、な
おぬしも平均的なスライムの範疇から漏れぬようだ
そなたのLVも伺っても?
うむ。拙者もLVは1である。
うむ、うむ
装備は”てつのつるぎ”だ
ちょっと待て
スライムはそこで制止した。そして暫く沈思したのち
てつのつるぎ……だと?
と、訝しげな様子で尋ねた。
いかにも。
拙者、最初に持っていた服やこんぼう、薬草等の道具類を全て売り払い、少々無理をしてこれを購入いたした
なんという事を……
スライムは嘆息を漏らした。そしてすかさず
愚かなり、勇者よ
厳然たる口調で言い放ったのである。
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登場人物紹介

武士
・魔王討伐の勇者に選ばれた、誇り高き武士
・たけしではない
・アイコンが無かったので一番それっぽいのにした

スライム
・町を出てすぐ会えるアイツ
・クソザコ
・アイコンが無かったので描いた

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