第2話 ボロアパートでの日常
文字数 1,924文字
ここは、僕の暮らすボロアパートの一室。
今は相棒の瑠璃と生活を共にしている。
「ふぁ…おはようヒビキ……」
くぁぁと小さくあくびを漏らしながら、眠そうな瞳を浮かべているのは、その僕の相棒である瑠璃であった。
「ほら瑠璃、寝癖が酷いぞ。直してやるからこっちおいで。」
「んん…わかったぁヒビキありがと」
「お礼なんていいから。ほら早く」
すると瑠璃はモゾモゾと僕の膝の上に登ってきて、そのままちょこりと僕に背中を向けて座る。
それから櫛と、寝癖を治すスプレーボトルを両手に装備してから、彼女の美しい金髪に触れる。
※※
「……ようし、こんなもんだろ。」
そう言って僕はスプレーボトルと櫛を置くと、瑠璃を軽く持ち上げてから、こちらを向かせる。
「いつも通りの瑠璃だ。ほら笑ってみ?」
「にゃあ」
瑠璃は猫みたいなポーズをとって僕に甘えてくる。
「おいどこで覚えてきた…そのあざとい仕草。」
「んー?錦さんから」
「あの人小学生に何教えてんだよ…」
錦さんというのは、僕と共にこのボロアパートに住む隣人さんのことである。
現在大学生で、酒とエロ本が大好きな煩悩まみれのおっさん風女子大生だ。
度々、うちの純粋で可愛い瑠璃に下ネタを教え込もうとしてくるので、それを阻止するのに手を焼いている。
ピンポーン
突然チャイムがなり、僕は一旦瑠璃を膝から退けて、代わりに手のひらサイズのナイフを手に取って、警戒体制へと入る。
僕も職業柄、いろんなやつに命を狙われているからな。
チャイム一つ、来訪者一人にも警戒しなければならないのだ。
すると次の瞬間――
「おーい羽宮くーん!新しいエロ本持ってきたぜーこの扉を開けておくれよー!」
噂をすれば何とやらだ。なんと、訪れたのは僕の命を狙う敵襲ではなく、瑠璃の純真無垢さを汚そうとする変態大学生だった。
うむ、これは一応敵認定してもいいのかな。いや敵だな考えるまでもなく敵だ。
がちゃり
「あれ!?なんで鍵かけるのさー!?エロ本いらないのぉ!?今回は羽宮くんの好みも考慮して、お姉さん系の特集持ってきたのにぃ!」
「余計なお世話なんだよバカ!それに僕お姉さん好きじゃないし、勝手に変な属性つけようとしてんじゃねぇぞ!」
「――ヒビキ?お姉さんが好きなの?」
すると僕らの会話を聞いていた瑠璃が、純粋さの塊みたいな目で僕のことを見つめてくる。
「ち、ちがうぞ瑠璃!これは錦さんが勝手に言ってるだけで、僕の本心は一切含まれて――」
「ほらー!この激可愛いお姉さんのむっちりぼでいがたまらないんだろうー?はーみ……」
「アンタ一回黙れってくれぇぇ!!」
※※
「わあ!入れてくれてありがとう羽宮くん!」
「うるさいよバカ……」
「ヒビキどうしてそんなに疲れてる?」
主に錦さんのせいなんだけど、その錦さんは気にした様子もなく、僕の部屋のちゃぶ台にエロ本を積み上げ始めた。
そして僕は躊躇いなくその山を蹴り崩す。
「あああああああ!!せっかく並べたのにぃぃぃ!!」
「並べんな」
錦さんはシクシクと泣く仕草をしながら、再びエロ本を積み上げ始めた。
ああもう勝手にやれ。
「何この本?」
瑠璃が、机の上に置かれた一冊を手に取った。
「なんっ―――でもないぞ!」
僕は慌てて瑠璃の手からエロ本を取り上げる。
幸い瑠璃は中身まではまだ見てないようで安心した。
そして僕が錦さんを睨むと、錦さんは他人事みたいにケラケラと笑っていた。
またそれを見た瑠璃までもが釣られてケラケラ笑いだす。
「―――それで?何の用だよ錦さん。」
「なになに?私はただエロ本を羽宮くんに届けにきただけだよー?」
「アンタが無駄にそんなことする人じゃないことは分かってるんだよ。どうせまた仕事だろ」
「正解。そんな君にはとびきりの仕事を与えよう!」
コイツ元気だなぁ。僕はこれから仕事で人を殺しに行かなければならないというのに。
そんな気持ちで、恨みがましげに睨んでいると、錦さんは「そんなに見つめないでよー!照れちゃう」と身体中をくねくねさせていた。
はあ……このメンタルつよつよ女に誰かレスバで勝てるやついんの?
言い合いになったら絶対に、のらりくらり躱される気がする。
「それで?仕事の内容はなんなの?」
「霧島綾って女の子がいるんだけど、この子がどうやら最近夜道で襲われるようになったんだって。」
「襲われるってのは――まあ、そういう意味だよなぁ」
「ぽいねー。全く女の敵ってやつですよこれは」
許せないよねー、と言いながら錦さんは手に持っていた資料に火をつける。
「………じゃあ僕らはもう現場に向かうことにします。」
「そう?じゃあ頑張ってきてねぇ」
錦さんがにへら、と笑いながら手を振る。
さて、仕事に向かうとするか。
今は相棒の瑠璃と生活を共にしている。
「ふぁ…おはようヒビキ……」
くぁぁと小さくあくびを漏らしながら、眠そうな瞳を浮かべているのは、その僕の相棒である瑠璃であった。
「ほら瑠璃、寝癖が酷いぞ。直してやるからこっちおいで。」
「んん…わかったぁヒビキありがと」
「お礼なんていいから。ほら早く」
すると瑠璃はモゾモゾと僕の膝の上に登ってきて、そのままちょこりと僕に背中を向けて座る。
それから櫛と、寝癖を治すスプレーボトルを両手に装備してから、彼女の美しい金髪に触れる。
※※
「……ようし、こんなもんだろ。」
そう言って僕はスプレーボトルと櫛を置くと、瑠璃を軽く持ち上げてから、こちらを向かせる。
「いつも通りの瑠璃だ。ほら笑ってみ?」
「にゃあ」
瑠璃は猫みたいなポーズをとって僕に甘えてくる。
「おいどこで覚えてきた…そのあざとい仕草。」
「んー?錦さんから」
「あの人小学生に何教えてんだよ…」
錦さんというのは、僕と共にこのボロアパートに住む隣人さんのことである。
現在大学生で、酒とエロ本が大好きな煩悩まみれのおっさん風女子大生だ。
度々、うちの純粋で可愛い瑠璃に下ネタを教え込もうとしてくるので、それを阻止するのに手を焼いている。
ピンポーン
突然チャイムがなり、僕は一旦瑠璃を膝から退けて、代わりに手のひらサイズのナイフを手に取って、警戒体制へと入る。
僕も職業柄、いろんなやつに命を狙われているからな。
チャイム一つ、来訪者一人にも警戒しなければならないのだ。
すると次の瞬間――
「おーい羽宮くーん!新しいエロ本持ってきたぜーこの扉を開けておくれよー!」
噂をすれば何とやらだ。なんと、訪れたのは僕の命を狙う敵襲ではなく、瑠璃の純真無垢さを汚そうとする変態大学生だった。
うむ、これは一応敵認定してもいいのかな。いや敵だな考えるまでもなく敵だ。
がちゃり
「あれ!?なんで鍵かけるのさー!?エロ本いらないのぉ!?今回は羽宮くんの好みも考慮して、お姉さん系の特集持ってきたのにぃ!」
「余計なお世話なんだよバカ!それに僕お姉さん好きじゃないし、勝手に変な属性つけようとしてんじゃねぇぞ!」
「――ヒビキ?お姉さんが好きなの?」
すると僕らの会話を聞いていた瑠璃が、純粋さの塊みたいな目で僕のことを見つめてくる。
「ち、ちがうぞ瑠璃!これは錦さんが勝手に言ってるだけで、僕の本心は一切含まれて――」
「ほらー!この激可愛いお姉さんのむっちりぼでいがたまらないんだろうー?はーみ……」
「アンタ一回黙れってくれぇぇ!!」
※※
「わあ!入れてくれてありがとう羽宮くん!」
「うるさいよバカ……」
「ヒビキどうしてそんなに疲れてる?」
主に錦さんのせいなんだけど、その錦さんは気にした様子もなく、僕の部屋のちゃぶ台にエロ本を積み上げ始めた。
そして僕は躊躇いなくその山を蹴り崩す。
「あああああああ!!せっかく並べたのにぃぃぃ!!」
「並べんな」
錦さんはシクシクと泣く仕草をしながら、再びエロ本を積み上げ始めた。
ああもう勝手にやれ。
「何この本?」
瑠璃が、机の上に置かれた一冊を手に取った。
「なんっ―――でもないぞ!」
僕は慌てて瑠璃の手からエロ本を取り上げる。
幸い瑠璃は中身まではまだ見てないようで安心した。
そして僕が錦さんを睨むと、錦さんは他人事みたいにケラケラと笑っていた。
またそれを見た瑠璃までもが釣られてケラケラ笑いだす。
「―――それで?何の用だよ錦さん。」
「なになに?私はただエロ本を羽宮くんに届けにきただけだよー?」
「アンタが無駄にそんなことする人じゃないことは分かってるんだよ。どうせまた仕事だろ」
「正解。そんな君にはとびきりの仕事を与えよう!」
コイツ元気だなぁ。僕はこれから仕事で人を殺しに行かなければならないというのに。
そんな気持ちで、恨みがましげに睨んでいると、錦さんは「そんなに見つめないでよー!照れちゃう」と身体中をくねくねさせていた。
はあ……このメンタルつよつよ女に誰かレスバで勝てるやついんの?
言い合いになったら絶対に、のらりくらり躱される気がする。
「それで?仕事の内容はなんなの?」
「霧島綾って女の子がいるんだけど、この子がどうやら最近夜道で襲われるようになったんだって。」
「襲われるってのは――まあ、そういう意味だよなぁ」
「ぽいねー。全く女の敵ってやつですよこれは」
許せないよねー、と言いながら錦さんは手に持っていた資料に火をつける。
「………じゃあ僕らはもう現場に向かうことにします。」
「そう?じゃあ頑張ってきてねぇ」
錦さんがにへら、と笑いながら手を振る。
さて、仕事に向かうとするか。