◆Scene06
文字数 750文字
かつてこの世界を支配していたのはクトゥルフと
それを奉じる「深きものたち」だったのです
しかし、いつしか
人類にすべてを奪われ
我々は居場所を失ってしまった
だから、ずっと海底の奥深くから
復讐の機会をうかがっていたの
やはり会場に
「深きものたち」が紛れ込んでいたか…
どおりで今日のお客さんは
面長な、インスマス顔が多いと思った…
え、中谷さん、どういうことかノン？
実は、声優魂が
未来の声優を育成するためのオーディションというのは
世を忍ぶ仮の姿なのだ
その実態は
クトゥルフの神々から世界を守るため
ヒーローとして共に戦ってくれる
仲間を探し出すためのオーディションだったのだ！
え～、なにそれ、聞いてないノン！
さらに声優魂が大崎で開催されてきたのには
ワケがあるんだ。
彼らの崇める旧世界の支配者・クトゥルフが
ゲートシティの地下深くに封印されているんだ
ええッ！？
ゲートシティの地下に！？
はい…
江戸時代まで海だった大崎の地底には
いにしえの神、クトゥルフの封印された
海底都市ルルイエが眠っているのです
大崎を滅ぼし
クトゥルフを復活させるのが我々の使命！
そのためにこの、声優魂に潜入したのです
申し訳ありませんが
会場にいる中高生ならびに大崎在住の皆さんには
死んでいただきます
なるほど…
難しすぎてよくわかんないけど
とにかく大崎がピンチだってことは
わかったぜ！
中谷さん、ボクもいっしょに戦うぜ！
そういうことなら
ノン子も、戦うノン！
二人とも…
気持ちはうれしい
だが、これは声優の仕事だ
素人はあぶないから
さがっていなさい。
しかし、その心意気は評価にあたいする
この戦いが終わったら
君たちに声優のなんたるかを叩き込んでやろう！
うん、わかったよ！
悔しいけど、今のボクたちじゃ
足手まといだもんな…
うん、そうだね！
でも、あたしたちにだって
出来ることがあるノン！
