第1話 決戦前夜

文字数 843文字

今日は2月13日。

春のような陽気だ。

翔太とポン太はいつものように縁側で『ひなたぼっこ』をしている。

ポン太、明日何の日か知ってるか?

翔太の膝の上で気持ちよさそうにしているポン太。
ほんとお前はいいよなぁ〜

悩み事なんて、ちっともないだろ!?

あったかい膝の上でのんびりしっぽ振ってりゃ、1日が終わるんだもんな

チラッと顔を上げ、横目で翔太を見たあと、またしっぽを振りながら目を閉じる。
なぁ、ポン太、

なんでさ~「女子」から「男子」にチョコ渡すってなってんだろうな…

ほら、今って、女子の方がいろいろ強いじゃん?

ただでさえ男子の方が立場が低いのに、告白するタイミングも女子の方が有利っておかしいとおもわない?

ポン太は振っていたしっぽを止めて、顔を上げ翔太を見る。

突然、膝からピョンとおりて、翔太の横に体を寄せるように座る。

おぉ、どうした急に

いつも通り、しっぽ振って聞き流してりゃいいのに

翔太は隣に座り直したポン太の頭や体を撫でる。
俺、明日、告白しようと思ってる
入口門から手を振りながら佐藤綾音が走ってくる。
あぁ、いたいた

翔太ってほんとここ好きだよね

おはよ、ポン太

綾音は翔太の横に座っているポン太の頭を撫でながら腰掛ける。
何? どうした?

なんかポン太と話してなかった?

…べっ、別に
ポン太は、耳を赤くしながら頭をかく翔太を見た後、綾音を見る。
突然、ピョンと翔太の膝に飛び乗り、ジーっと翔太を見つめる。
……ニャ~オ
えっ!? 鳴き声、初めて聞いた

カワイイ〜

綾音は、翔太の膝の上にいるポン太を顔の前まで抱き上げ、ポン太に頬擦りする。
…っおい、なんだよ!

お前普段鳴かないだろ


(小声で)…ずりぃ〜よ…

ん!?
…別に


…俺、帰るわ

翔太、立ち上がって歩き出し入り口門へ向かう。


ポン太、綾音の腕からすり抜け、ポン太の後を追う。翔太の足元に擦り寄り、体をこすりつける。

…ニャ〜
わかった、わかった

ちゃんとやっから、安心しろって

じゃぁ、またな

翔太はしゃがみ込み、足元で体をすり寄せるポン太の頭をなでたあと立ち上がり、寺をでていく。

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登場人物紹介

谷川翔太(14)

翔北中学校2年A組

佐藤綾音(14)

翔太と同じクラスの幼なじみ

ポン太

称福寺(しょうふくじ)の看板猫

翔太の母

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