第6話
文字数 294文字
「逆に問うが…」
日向は、太明に背を向けたまま、尋ねる。
「私が、狐狸妖怪の類ではないかと、疑いは持たなかったのですか?」
今の今、考えていたことを見抜いたかのようなその問い。
まるで、切り取られたかのように周囲から浮き出て見えた、その姿…。
ほんのわずかな笑みで、ようやく初めて「人」に見えた…。
しかし、太明は、低く笑い
「そうですね。…思わなかった」
と一言、答えた。
しかし、それはあまりに、きっぱりとした口調であり、それが日向を驚かせたらしい。
手を止め、また、視線を、ひた、と太明へ合わせた。
そして、一言。
「そうですか…」
とだけ答えた。
……やはり、妙なやつだ。
太明は、再度、そう思い、一人頷いた。
日向は、太明に背を向けたまま、尋ねる。
「私が、狐狸妖怪の類ではないかと、疑いは持たなかったのですか?」
今の今、考えていたことを見抜いたかのようなその問い。
まるで、切り取られたかのように周囲から浮き出て見えた、その姿…。
ほんのわずかな笑みで、ようやく初めて「人」に見えた…。
しかし、太明は、低く笑い
「そうですね。…思わなかった」
と一言、答えた。
しかし、それはあまりに、きっぱりとした口調であり、それが日向を驚かせたらしい。
手を止め、また、視線を、ひた、と太明へ合わせた。
そして、一言。
「そうですか…」
とだけ答えた。
……やはり、妙なやつだ。
太明は、再度、そう思い、一人頷いた。