第2話

文字数 548文字

人の一生なのだから、もっと印象的な場面であってもいいような気がする。
でも、ボクが夢でよく見るのは、この景色だった。

良いことも悪いことも、いろいろなことがあった。
絶望も味わった。

そうそう簡単には忘れない。
キミらが犯した悪意な出来事は。

きれいな言葉で取り繕っても、痛みは身体だけでなく心をズタズタにする。
それをなかったことにするなど、調子がいいにも程がある。

でも、それは時が解決してくれたのかもしれない。
今のボクにはあの時の痛みなど遥か昔のことで、夢を見るまで忘れていた。

いい意味でも悪い意味でも、人間は変わらない。
金に群がるどうしようもないクソ野郎しかいないと思っても、どこかに希望が残されていて。

頭を抱えたくなるような悪意に満ちたことがあっても、必ずその逆のことも起きる。心が洗われるような出来事があれば、それと同じくらい悪いことも起きる。

また、どうしようもない悪人に美しい部分があったり、
清らかな聖人のような人に悪い心があったりもする。

ゆらゆら揺れる、シーソーのように
悪に振れると善に戻り、善に振れると悪に戻る。

このシーソーを壊してはいけない。
どちらかが重くなりすぎても、どちらかが軽くなりすぎても、両方が重くなっても。

世界は絶妙なバランスの上に成り立っている。
今も昔も、ボクはそれを見ていた。



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