第1話 物語のはじまりは……城の中

文字数 386文字

 校舎からあいつの靴音が、徐々に近づいてくる。

 きっと、いつものあいつだ。

 ぼくは正直……。
 あいつの顔は見たくはなかった……。

 靴音がすぐそばまでくると、ぼくは体育館の裏手へと急いで回った。そこから、全速力で学校の外へと走る。

 息を切らせて、フェンスを乗り越え走り抜けた。
 そのまま道路へ飛び出ると、精一杯走り続けた。

 どこかで石を踏んづけたのか、急に身体がバランスを失う。

「う、うわっ!」

 そのまま派手に倒れ、水たまりに横っ面をぶち当てた……。
 
――――

 古代より二つに分断された土地。北方領地を治めた白の騎士の国があった。その最奥にあるトルメル城は、聖騎士生誕の場所ともいわれ人々から祝福をされていた。だが、今は民のいない国とも亡者の国ともいわれ、その遥か北から魔族の脅威が今も存在している国でもあった。

 その魔族を束ねるものは異形のゼブル「高き館の主」と呼ばれた。
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