『さみしい夜にはペンを持て』

文字数 773文字

 小説の方はあいかわらず、のーろのーろと書いている。
 今日は先日、タイトルにある本を読んだ感想を書いてみたい。前から気になっていたけど、公開日記を書くようになってあらためて読んでみたくなった。日記は自由に書けばよいし、上手く書く必要もないけど、やはり自分で納得のいくくらいのものは書きたいと思ったからだ。
 主人公はタコジローという、学校でいじめにあっているタコの男の子で、彼がある日ヤドカリのおじさんと出会い、日記の書き方を教わっていくというストーリーだ。
 まず、著者の語り口がとにかく優しく真摯で、とても心に沁みて思わず涙が出た。
 話はずれるが、年をとってから何かというと涙が出てしょうがない。「経験を重ねて心が豊かになるからだ」という説を聞いたことがあるが、そのあと目にした別の説によれば、たんなる老化現象らしい。三十代のころからなんだけど……。
 さて、タコジロー君は最初のころ、日記がうまく書けない。おじさんがひとつひとつ疑問に答えてアドバイスをくれる。
 その中のひとつに、「いまの気持ちを書かない」というのがあり、すごく腑に落ちた。「いまの自分」を「いまの自分」が書こうとしても、うまくいくわけがない。ゼロ距離で全然見えていないし、常に動いているからぶれる。一方で、「あのときの自分」は適度な距離感にいるし、過去のすでに確定している自分だから、書ける。私もここに気づかないまま、後で消したくなるようなものをけっこう書いていた気がする。
 そしてなぜ人は日記を書くのか。おじさんは言う。
「自分が日記をつけはじめてから気づいたんだ。おじさんがいちばん『わかってほしい』と思っていた相手は自分自身だったんだ、ってね」この文章だけ読み返しても泣きそうである。
 毎日は無理だけど、おじさんのアドバイスを思い出しながら、日記をつづけてみようかなと思う。

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