第4話:「人のこころとセット!」でやってきた3匹目

文字数 761文字

3匹目の猫も、なんとキジトラの雌猫だった。
生まれ持った上質な毛並みは手触り抜群。
のちに、かかりつけの病院の獣医師から「ずっと触っていたいですね」と褒められるほど。
個人で保護活動をされている方のご自宅に夫婦で向かった。
てっきり、子育ても夫育てからも卒業したおばさまが出迎えてくれるのだと勝手に想像していたので、自分より若くて華奢な女性が玄関から顔を出したときは心底驚いた。
テキパキと私たちを部屋へと案内し、保護した猫たちと対面させてくれた。
右側から顔を出した子猫と話していると、背後からひょっこりと同じような模様の猫が姿を見せる。
自然と私が近寄ってきた猫に手を伸ばそうとすると、今度は反対方向からまた別のカラフルな毛色をみにまとった猫たちが3匹並んで走ってきた。
さらに、ドンドンドンという音がして振り返ると、ドアノブを開けようとして短い足を必死に伸ばしている大柄の猫もいた。
とにかく視線を休める場所がなかったが、1匹ずつ新しい子を見るたびに母性本能に似たものが刺激された。
ところで、いったいこの部屋には何匹の猫たちが生息しているのだろうか。
2匹しかいない自分の家よりもずっと綺麗な空間だったことにも驚きを隠せない。
その事実の裏に、どれだけ彼女の努力があるのか。
ふと、仙台から無理をして猫を引き取らなくて良かったのかもしれないと思った。
もちろんどの猫も可愛いが、やはり最後に心を動かすのは人柄のほうなのだ。
少なくとも私は、猫よりも彼女のことをもっと知りたい、微力ながらお手伝いしたいと心から思えた。
その後、とんとん拍子で話は進み、1か月のトライアル期間を得て、3匹目はうちの子になった。
"紅葉"と名づけたくなるほど赤毛は多いが、またまたキジトラとのご縁を頂いてしまった。たいへんおしゃべりな子で、家の中がたーんと明るくなった。
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