バジルⅣ(7/29)

文字数 308文字

萎れると枯れるとの違いが分からずに、バジルに水をやり続けたのだが、今朝になって、枯れてしまっていることに気づいた。つまり、それは注いだ水が鉢を通過して受け皿から溢れたからだ。根が吸うことをやめ、良く見れば茎が緑から茶に変わっている。
とはいえ、昨日までは吸っていたのかどうかも分からない。元気のない葉ばかりを気にしていた。生命力は葉ではなく、根や茎に宿るのだと学んだ五十男は、バジルに詫びる。

部屋から緑が消え
また一人ぼっちだ

パチン、パチンと
枝を切れば
バジルの香りは
まだ生きている

食用なのに
情が移り
鑑賞用になり
同居人になった
でも結局
枯らしてしまった

切なさと
怒りは
表裏一体となり
僕をかき乱す


※バジルⅠ~Ⅲ(6/14~16)
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