才能論

文字数 453文字

 そんなに人づき合いの多い生き方はしていないのだが、「こやつ天才か」と思わされたことは一度や二度ではない。面白いのは、自分をビビらせたり悔しがらせたりした相手の大半が、表現者としての道を選ばず、まあフツーの人生を送っていることだ。
 思うに、天然のままでキラキラした才能を持つ人間は、文学だろうと音楽だろうと絵画だろうと、パッと始めた途端にそれなりの結果を出すものであり、必ずしも一つのジャンルにこだわる必要がない。というか、そういう選ばれた人間にしてみれば、生きることそのものがキラキラと楽しい、ないしギラギラと苦しいものなので、芸術とか表現とかに執着する意味があまりないとも言える。なにか上手くいかないことがあったり、もっと面白そうなことを見つけたりすると、さっさと見切りをつけて他に行ってしまうのだ。
 むしろ、くすんだ才能とくすんだ人生の持ち主の方が、表現者としては長持ちすると言える。ひとつ所に恋々としがみついていれば、何かの拍子に傑作が生まれないとも限らない。皆のもの、頑張ろうではないかっ!かっ!
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