第4話

文字数 202文字

黙って戻る。
ちょうど真ん中。
崩れて尖った石の壁。
持って来たロープ。
サル芝居の後始末。
幽霊なんて、やっぱり居なかった。
それとも、僕が、それになるのか?

忘れ去られてしまう前に。
一度来てごらん。
旧伊勢神トンネルの名は、1200m程のあのトンネルに譲り渡す事になるだろうから。
伊世賀美隧道と、僕。
物理的な音の反響に乗り移って、ひっそり生きる。

死んだように、生きる。

それは、声の主が居ない時、無いもおんなじだから。
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