第4話 妄言女と商売女

文字数 1,727文字

・・・であるからして、ワラワが理想とする国家においては、税金、労働を不要とする社会システムを実現するのじゃ。
2017/08/19 17:55
税金、労働から解放されるーーその真の意味を考えなければならないのじゃ。
2017/08/19 19:55
唯一の国民の義務、それは教育と言えよう。

人が人たるために、無用な争いを避けるために、知恵を身につけなければならない。

2017/08/19 17:59
だからこそ、民草の皆々は、労働や税金から解き放たれ、真の自由を掴むために、教育を受け、教育を施していかなければならないのじゃ。
2017/08/19 18:00
さしたれば、労働と税金から解放される日も近付くであろうーー
2017/08/19 18:02
ふざけるなー!
2017/08/19 18:03
なにが、税金や労働は無くなるだ!

そしたら、俺たちはどうやっておマンマ食べていくんだ!

2017/08/19 18:03
ホラ吹くんじゃない!

働かざるもの食うべからず!

下らないこと言ってないで、ちゃんと働けー!!

2017/08/19 19:59
・・・っふ。

なにも見えておらん聴衆よ。

先を見据えるのじゃ。はるか先、100年先を見据えるのじゃ。

2017/08/19 19:56
なぁ、いつまで続けるんだ?

お前の妄言をかろうじて聞いてくれてた老人だって、呆れて帰っちまったぞ・・・

2017/08/19 18:06
・・・いつものことだ。

ワラワは村の広場で真の世界を民草に伝える。無知な愚民が知恵に興味を持たぬ・・・。

いつものことじゃよ。

2017/08/19 20:00
あのなー、いくらお前が崇高な理想を掲げたって誰にも届かなきゃ、意味がないんだぞ・・・
2017/08/19 20:02
(・・・ぱちぱちぱち)

わぁー、なんだかすごいお話をされておりますわねぇ!

2017/08/19 20:06
私、感動しちゃった!

働かなくて良し、税金を払わなくて良し、なんてサイコーの世界じゃないですかぁ!

2017/08/19 20:08
・・・お!

そこの女っ! ワラワの申すことが理解できるのか!

2017/08/19 20:09
もちろんですわぁ!

こう見えても私も、商売人の端くれ。

お嬢ちゃんの言う、労働と税金のカセに人一倍悩まされる立場におりますものぉ!

2017/08/19 20:10
・・・ムッ。

お嬢ちゃんとは聞き捨てならーー

2017/08/19 20:12
話しがややこしくなるから、お前は黙っておけ!


2017/08/19 20:13
あのー、お姉さんはいったい何者ですか?
2017/08/19 20:14
あらあら・・・自己紹介が遅れてしまったわね。


2017/08/19 20:14
私は、薪や炭の燃料問屋を営んでいる商売人よ。

最近このあたりで、新しい商売を始めようと引っ越して来たのだけど、新事業が大失敗しちゃって大変なのよ

2017/08/19 20:15
・・・そんな折に、働かなくて、税金も払わなくても良い社会のお話をなんて聞いちゃったものだから、酷く感激してしまって。
2017/08/19 20:17
・・・唐突だけど、貴方たち「モクフン」いる?
2017/08/19 20:18
・・・は? モクフン?
2017/08/19 20:20
あらあら、ごめんなさい。

モクフン・・・つまり木の粉って書いて木粉なのだけど、文字通り木材を粉々にした一種の燃料なのよ。

2017/08/19 20:20
・・・はぁ。なんでそんなものを?
2017/08/19 20:26
・・・聞いてくれる!?

私の悲しくも熱い熱い情熱を!!

2017/08/19 20:27
・・・え、いや、手みじかにお願いしたいです
2017/08/19 20:28
・・・あのね。

半年ほど前にね。この辺りの地方で、とある魔物が大量出現したのだけど、それを倒すと同じくらい大量の木粉をドロップする魔物なのよ。

2017/08/19 20:28
・・・それでね。

冒険者たちから、その魔物がドロップした木粉は、すぐに火を起こせて燃料に便利だって話しを聞きつけたのよ!

2017/08/19 20:30
私ピンっと来ちゃって、その木粉で一儲けしてやろうと思って、全財産を注ぎ込んでドロップされた木粉を買い占めたのね!
2017/08/19 20:32
それで、木粉を固めて新しい燃料として売り出したわけ! 
2017/08/19 20:34
・・・ところが、燃え始めが早い分、燃え尽きるのも早くて。

燃料には適さないことが後でわかって・・・

2017/08/19 20:52
うぇーん・・・おいおい、うぇーん・・・おいおい。
2017/08/19 20:37
・・・はぁ。

俺たちに言われてもどうしようもないですよ。

ってか、そんなに大量の木粉があるなら、何か加工品を作ったら良いじゃないですか

2017/08/19 20:39
・・・たとえば、紙とか
2017/08/19 20:41
・・・か、カミ? 毛髪のこと?
2017/08/19 20:41
・・・いやいや、紙ですよ!

ここでは、羊皮紙が貴重なんでしょ?

代わりに紙でも作ったら、王宮とかが高く買い取ってくれるんじゃないですか?

2017/08/19 20:41
オヌシ・・・、また訳のわからぬ言葉を申すな。

木粉から羊皮紙を生み出せる訳をなかろう。

羊皮紙とは、文字通り羊など動物の皮を使って・・・

2017/08/19 20:42
いや、だから木粉を使って、

羊皮紙みたいな、文字を書き留める紙を作れるんだよ!

2017/08/19 20:44
・・・な、なんとまあ!!

私の商売人の勘がピンピンと反応しておひますわ!

2017/08/19 20:45
もし本当なら、それは商売になりますわ!
2017/08/19 20:58
ここで、会ったのも何かの縁!

・・・ぜひとも、木粉から紙を生み出すという、その術を教えてくださいまし!

2017/08/19 20:46
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登場人物紹介

妄言少女。

アホンダラ村の名もなき村人。

夢想、空想、なんでもござれ。いつも夢見がちな話をしているため、こう呼ばれるようになった。

周りは君悪がって友達もいない。

密かに、自分の話を世界中の人々に聞いてもらいたいと願っている。

俺。

32歳。弱小出版社にて10年勤務。

小さい会社だったため編集部、営業部、販促部、経理部と一通りの仕事をさせられる。

出版不況の煽りと社長の資金使い込みにより、突如倒産、無職ニートとなる。

近所の奥様型に噂されることを怖れて常にマスクをしている小心者。

モブ。

商売人。20歳ちょいの女性

燃料卸問屋。

木の粉で一山あてようとしたところ大失敗。

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