文字数 628文字

 翌日――

「な、なんだこれ!?」
「……見てわからないか? 私たち4人、3日間の停学だ」
「なんで!?」
「多分、天利先輩に無理を言ったからじゃないでしょうか。3年の掲示板に、先輩の名前が……」
「あたしも停学だよっ! あんたたちに関わったせいだ!」
「天利先輩っ!!」

 先輩は目の下にくまを作って登校してきた。

「くうっ~……ただでさえ、春休み中に渡された課題レポート終わってないのにっ!」

 レポートって、あれか。研究室でやっていた……。でも、天利先輩を非難する筋合いはない。頼んだのは俺たち……厳密にいうと、暴走した三蔵と柊のせいだ。

「……まぁいいけどね。停学中はレポート終わらせてバイトするし」
「すみません、先輩」
「ごめんね~?」
「三蔵も柊も反省の色が見えない!」
「ふぇぇ……い、いきなり停学だなんて、お母様たちになんて言えば……」

 宇佐美さんが泣きはじめる。それもそうだな。彼女も巻き込まれた一員だ。

「宇佐美は少し、精神的に強くなろうね?」

 天利先輩もさすがに怒れないみたいだ。優しく頭をなでている。それをふたりの問題児が困ったように見ている。さすがに反省してくれているのか?
 そんな予想は大きくはずれた。

「今度はちゃんと、基礎的なことを学んでからだな。まずは移転魔法だ」
「ボクも停学中、もっと呪文を考えとく!」

 こいつらはまったく懲りてねぇ。これからの大学生活、うまくやっていけるのか?


 俺の心には暗雲が立ち込めているが、外の桜はまだ楽しそうに咲いていた――
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