姉
文字数 683文字
僕には懺悔したいことがあります。
あれは僕がまだ中学生のころのこと。
思春期の男子なら誰もがかかる「おっぱい触りたい症候群」という病をわずらっていた僕は、ある日、ついに我慢できなくなって、寝ている姉のおっぱいを触ってしまいました。
手のひらに広がるふにっとした柔らかい感触。指を曲げると、それに合わせておっぱいも形を変えます。あまり続けると姉が起きてしまうとは分かっていたのですが、もう少し、もう少し、と。僕は夢中になって姉のおっぱいを揉みしだきました。
しばらくして、はっと我に返ったときにはもう遅く。
「なにしてるの?」
聞こえてきた姉の声に、血の気が引くのを感じました。
(まずい、まずい、まずいっ!)
何か言い訳を言わなければ、と焦った僕は咄嗟に
「……やっぱり、しこりがある………姉ちゃん! 早く病院に! 乳がんかもしれない!!」
と真剣な顔をして声高に叫びました。
自分でも無理がある言い訳だとは思っていたのですが、姉は本気にしてしまったらしく、血相を変えてその日のうちに病院へ。結果、もちろん乳がんなどなかったのですが……検査をして、両親も心配させ、家族全員を巻き込んだ大騒動になってしまいました。
それ以来、僕は姉に頭があがりません。
もうすぐ、姉が結婚します。
このことは僕の胸の内に秘め、結婚式では心から姉を祝福したいと思っています。