第4話
文字数 528文字
白基調の鯛焼き屋の店内、菅野の色の白さとそれを引き立てる顔の小さなほくろ。
いつも遠くから眺めるしかなかった藤谷の顔は、間近に見ると少し色黒に見えた。
「広瀬、好きなひと居るの?」
菅野は単刀直入だった。
「いや、別に…」
本人を眼の前に、言える訳がない。
この菅野の率直さ、そしてキリッとした顔立ちがモテる所以なんだろうけど、この時ばかりはそれが恨めしかった。
藤谷を知ったのは、4年生の、彼女が翌年の児童会副会長選挙への立候補をした時だった。
それまで石川さんという、一般的には美人ではない眼鏡を掛けたガリ勉タイプのコが好きだった僕は、演説に登壇した彼女に一目惚れし、すぐさま乗り換えた。
当時の僕の恋心は、世間的には好きなアイドルを選ぶ様な感じに近い感覚だったと思う。
僕は投票用紙に 藤谷桃子 と書いて投票した。
彼女は無事副会長になり、6年の時は会長を務めた。
目がくりくりと大きく、目立つコだったし、背は高くなかったが発育が早く、6年の時には胸がふくらんでいた。
そんな目立つ彼女に対して、僕は日陰者グループのリーダーみたいな立場だったから、何か強制的な接点でもない限り、遠くから眺めるほかなかったのである。
その接点が、今目の間にある。
菅野によって、唐突にもたらされた。
いつも遠くから眺めるしかなかった藤谷の顔は、間近に見ると少し色黒に見えた。
「広瀬、好きなひと居るの?」
菅野は単刀直入だった。
「いや、別に…」
本人を眼の前に、言える訳がない。
この菅野の率直さ、そしてキリッとした顔立ちがモテる所以なんだろうけど、この時ばかりはそれが恨めしかった。
藤谷を知ったのは、4年生の、彼女が翌年の児童会副会長選挙への立候補をした時だった。
それまで石川さんという、一般的には美人ではない眼鏡を掛けたガリ勉タイプのコが好きだった僕は、演説に登壇した彼女に一目惚れし、すぐさま乗り換えた。
当時の僕の恋心は、世間的には好きなアイドルを選ぶ様な感じに近い感覚だったと思う。
僕は投票用紙に 藤谷桃子 と書いて投票した。
彼女は無事副会長になり、6年の時は会長を務めた。
目がくりくりと大きく、目立つコだったし、背は高くなかったが発育が早く、6年の時には胸がふくらんでいた。
そんな目立つ彼女に対して、僕は日陰者グループのリーダーみたいな立場だったから、何か強制的な接点でもない限り、遠くから眺めるほかなかったのである。
その接点が、今目の間にある。
菅野によって、唐突にもたらされた。