第1話

文字数 1,424文字

大谷翔平と岩手

東京などに出ると
岩手出身であるということに対して
ある独特な引け目というか
劣等感を感じる人は少なくないだろう
私もまさにそうであり
訛りもあって東北出身であることの
負い目をどうしても意識させられた
これは自分勝手な独り相撲であり
自分でかけた罠に自ら引っかかっている
愚かな負い目 劣等感に違いない
その裏返しとして やけに郷土愛に燃えたり
わざと訛ったまま話していたら
一生 訛ったままになってしまった
東北出身の例えば寺山修司などが
訛ったままだったということには
こんな屈折した想いがあったのかもしれない

宮沢賢治 石川啄木の出身県
総理大臣や新渡戸稲造 高野長英 
後藤新平などの偉人を多数排出している
県であることを誇ってみても 
やはり その独特の劣等感は
どうしても拭い去ることができなかった
岩手出身者の多くは少し屈折した郷土愛を
抱えているような気がする 劣等感と誇り
アンビバレントな郷土意識を他よりも
強く持たざるを得ない県といってもよい
そのせいか 東京での岩手出身者の団結力は強く
上京した際に どこで私の名前や住所を
調べたのか知らないが岩手出身の学生の集い
の案内状が熱心に何度も届いたことを忘れない
また 高校野球でも東北出身の学校は
一回戦敗退が普通であり優勝することなど
夢のまた夢であり 組み合わせ抽選会で
相手が東北の学校であることが分かると
それだけでガッツポーズをされることもあった
そんなことも東北出身者の団結力を強めるのだ
しかし 大谷翔平という青年が大リーグで
活躍するようになって少し変わったような気がする
今まで岩手出身のアスリートというと
それだけで誰にも分かる人はあまりいなかった
それが 日米だけではなく広く世界的に
有名なアスリートが岩手から誕生したのである
自己紹介の際 大谷翔平と同じ岩手出身です
ということに今まで感じていたやや屈折した
劣等感を感じることはもはやないのである
そこには解放的な明るさとジョーク
ほんの少しの優越感の風が一瞬 巻き起こる
それは まさに彼の持つ底抜けの爽やかさや
明るさに由来するものだろう そしてそれは
今までの日本人にはない爽やかさと明るさなのだ

岩手はスケールが大きな地である
県の面積はもちろん日本一の広さであるし
そこに住む人も大らかで優しく親切な人が多い
そこから スケールの大きい人物が
排出するのもそんなに不思議なことではない

彼はまさに iwatenotakaraなのだ 


ファンレターさまの紹介

今を吹き抜ける爽やかな風

爽やかなこの季節に合う、心地のよい詩ですね。大谷翔平選手の明るく爽やかな性格は、故郷岩手の風景や人々が育んだものなのかも知れませんね。東北出身ということを何となく恥ずかしく思い、からかわれたくない一心で、お国訛りを消そうと努力する人達が沢山います。どこの出身だからと嘲笑し蔑む人達の方がみっともなくて情けないのに、その人達の目を気にしなくてはならないのが、理不尽で何だか切ない気持ちになりました。大谷翔平選手の出身校がある花巻市に何度か行ったことがあります。夏の爽やかな風が吹き抜け、遠くの山々は青く、北上川の流れは清々しい。宮沢賢治の故郷でもあり、ここはイーハトーブと呼ぶのに相応しい所だと実感しました。この美しい故郷を恥じることなど全くないと思います。大谷翔平選手という世界が認めるカッコいいヒーローが誕生したことは本当に嬉しい限りです。今を吹き抜ける爽やかな風のような大谷選手を応援しています。



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