第3話
文字数 1,938文字
サトミは、シンイチの歌を綺麗な声と思っていた。
そんな折、サトミは、このまま、今のシンイチで良いのかとも思っていた。確かに、シンイチは、頼りなさそうな感じだった。
しかし、サトミは、シンイチが、どこか明るい希望を照らす男のように思っていた。
サトミは、大学生の時、軽音楽にいた。
そして、その時、軽音楽には、何人かの部員がいた。
サトミは、ボーカルのヨシテルと付き合っていた。
いつも部室で、色んな音楽の器械を交えて歌っていた。そして、ヨシテルは、いつも、サトミに「歌手になりたい」とか「オレは、子供の頃、いじめられて、だから、その心の傷をいやすために、音楽をしているのだ」とか言っていた。
ギターのミキヤ。
ドラムのヒカリ。
ベースのジュン。
いつも淡路駅前とか西中島南方、十三、梅田で飲んで、騒いでいた。
ところが、ヨシテルは、ある時、「オレ、こんな子供みたいなことができない」とかキレて、いきなり退部した。
ギターのミキヤを殴って、ドラムのヒカリに強引にキスをした。
そして、サトミは、そんな暴れるヨシテルを「いい加減にしなさい」と言って、頬っぺたを叩いた。
叩いた後、大学も中退をした。
その頃、サトミは、夜回り先生の講演を聞いて、「中絶だけはいけない」とか思っていた。しかし、その後、ヨシテルは、大学を中退してから、ろくに仕事もしないで、飲食店の女性との間に、子供ができた。
そして、そのまま、今度は、育児放棄になって警察沙汰になった。
ヨシテルは、イライラして、子供にあざができるまで叩いたらしい。
また、奥さんになった女性にも、身体がボロボロになるまで叩いた。
そして、ヨシテルは、何度か刑務所に行ったり来たりしていた。
だが、サトミは、後から知ったのだが、ヨシテルは、親が学校の先生だった。
学校の先生をしているヨシテルの両親は。ヨシテルに「学校の先生になってほしい」と言っていたが、駄目だった。
ヨシテルは、ミュージシャンになりたかった。
しかし、両親に反対された。
こんな時に思い出したのは、尾崎豊『卒業』とか『15の夜」だった。サトミは、軽音楽の先輩から「尾崎豊の曲でも聞いたら?」と言われていた。
だから、音楽については、甘酸っぱい思い出がある。
そして、卒業して、サトミは、最初、東京の音楽会社に就職をしていた。音楽会社とは言っても、そんな有名なアーティストに会えるものではないが、それでも、イベント情報を雑誌やWEBに載せたり、または、取材もしていた。
若しかしたら、サトミは、憧れの大塚愛とか倖田來未に会えるとか思っても、わずかな期待もしていたが、そんなことはなく、激務だった。
激務だが、それでも、サトミは、50歳手前の男性ミュージシャンになろうとしている男性を見た。
サトミは、若しかしたら、「少しは、CDデビューできるかも」と思っていた。
実際には、そんな動きもあった。
いつもボイストレーニングでも彼は、綺麗な声を出し、また、レコーディングも順調に進んでいた。
そして、サトミは、少しでも、彼のことを思って、弁当を作り、また、一緒にお酒を飲んでいて、更に、時には、ホテルでも何度か身体を許した。
京都から東京へ来たサトミは、この50代の男性と「一緒になれたら」と思った。つまりは、結婚も考えていた。
CDデビューが、決まり、そして、会社のみんなで、飲み会へ出かけた。
高輪で、みんなと飲んでいた。
「渡辺君」
と50代の男性は、言われた。
「おめでとうございます」
と言った。
「そうだ、CDデビューおめでとう」
「いや、こちらこそ」
「今の時代、YouTubeで、大変だけど、こんな時代に、CDをプレスするのもすごいね」
「いや」
そうだ、そうだ、と一同、お酒の席で言っていた。
その時だった。
「渡辺君」
「はい」
「かえでちゃんともゴールインだしね」
え、…とサトミは、思った。
それで、かえでちゃんって、誰?
「いや、今度、奥さんになったら、大変だね」
「そうだ、そうだ」
「ま、だけど、かえでちゃんは、僕らから見ても、良い人だよね」
「うん」
「渡辺君は、女好きだったけど、もうこれ以上、悪いことはできないよね」
「そうだね」
「前みたいに、由香ちゃんとあんなことしたら、駄目だって、思うものね」
そして、高輪の居酒屋の件で、だんだん、サトミは、気分が悪くなり、そんな結婚する男に身体を許したとなると、サトミは、吐き気を何度もして、その内、心療内科へ通い、その音楽会社を辞めた。
辞めて、今よりも、小さな新宿の会社で仕事をしている。
そんな矢先に、シンイチが、屋上で、一人で、のびのびと歌うのは、そんなプロの歌手が多くいるプロダクションよりも良いと思った。
そんな折、サトミは、このまま、今のシンイチで良いのかとも思っていた。確かに、シンイチは、頼りなさそうな感じだった。
しかし、サトミは、シンイチが、どこか明るい希望を照らす男のように思っていた。
サトミは、大学生の時、軽音楽にいた。
そして、その時、軽音楽には、何人かの部員がいた。
サトミは、ボーカルのヨシテルと付き合っていた。
いつも部室で、色んな音楽の器械を交えて歌っていた。そして、ヨシテルは、いつも、サトミに「歌手になりたい」とか「オレは、子供の頃、いじめられて、だから、その心の傷をいやすために、音楽をしているのだ」とか言っていた。
ギターのミキヤ。
ドラムのヒカリ。
ベースのジュン。
いつも淡路駅前とか西中島南方、十三、梅田で飲んで、騒いでいた。
ところが、ヨシテルは、ある時、「オレ、こんな子供みたいなことができない」とかキレて、いきなり退部した。
ギターのミキヤを殴って、ドラムのヒカリに強引にキスをした。
そして、サトミは、そんな暴れるヨシテルを「いい加減にしなさい」と言って、頬っぺたを叩いた。
叩いた後、大学も中退をした。
その頃、サトミは、夜回り先生の講演を聞いて、「中絶だけはいけない」とか思っていた。しかし、その後、ヨシテルは、大学を中退してから、ろくに仕事もしないで、飲食店の女性との間に、子供ができた。
そして、そのまま、今度は、育児放棄になって警察沙汰になった。
ヨシテルは、イライラして、子供にあざができるまで叩いたらしい。
また、奥さんになった女性にも、身体がボロボロになるまで叩いた。
そして、ヨシテルは、何度か刑務所に行ったり来たりしていた。
だが、サトミは、後から知ったのだが、ヨシテルは、親が学校の先生だった。
学校の先生をしているヨシテルの両親は。ヨシテルに「学校の先生になってほしい」と言っていたが、駄目だった。
ヨシテルは、ミュージシャンになりたかった。
しかし、両親に反対された。
こんな時に思い出したのは、尾崎豊『卒業』とか『15の夜」だった。サトミは、軽音楽の先輩から「尾崎豊の曲でも聞いたら?」と言われていた。
だから、音楽については、甘酸っぱい思い出がある。
そして、卒業して、サトミは、最初、東京の音楽会社に就職をしていた。音楽会社とは言っても、そんな有名なアーティストに会えるものではないが、それでも、イベント情報を雑誌やWEBに載せたり、または、取材もしていた。
若しかしたら、サトミは、憧れの大塚愛とか倖田來未に会えるとか思っても、わずかな期待もしていたが、そんなことはなく、激務だった。
激務だが、それでも、サトミは、50歳手前の男性ミュージシャンになろうとしている男性を見た。
サトミは、若しかしたら、「少しは、CDデビューできるかも」と思っていた。
実際には、そんな動きもあった。
いつもボイストレーニングでも彼は、綺麗な声を出し、また、レコーディングも順調に進んでいた。
そして、サトミは、少しでも、彼のことを思って、弁当を作り、また、一緒にお酒を飲んでいて、更に、時には、ホテルでも何度か身体を許した。
京都から東京へ来たサトミは、この50代の男性と「一緒になれたら」と思った。つまりは、結婚も考えていた。
CDデビューが、決まり、そして、会社のみんなで、飲み会へ出かけた。
高輪で、みんなと飲んでいた。
「渡辺君」
と50代の男性は、言われた。
「おめでとうございます」
と言った。
「そうだ、CDデビューおめでとう」
「いや、こちらこそ」
「今の時代、YouTubeで、大変だけど、こんな時代に、CDをプレスするのもすごいね」
「いや」
そうだ、そうだ、と一同、お酒の席で言っていた。
その時だった。
「渡辺君」
「はい」
「かえでちゃんともゴールインだしね」
え、…とサトミは、思った。
それで、かえでちゃんって、誰?
「いや、今度、奥さんになったら、大変だね」
「そうだ、そうだ」
「ま、だけど、かえでちゃんは、僕らから見ても、良い人だよね」
「うん」
「渡辺君は、女好きだったけど、もうこれ以上、悪いことはできないよね」
「そうだね」
「前みたいに、由香ちゃんとあんなことしたら、駄目だって、思うものね」
そして、高輪の居酒屋の件で、だんだん、サトミは、気分が悪くなり、そんな結婚する男に身体を許したとなると、サトミは、吐き気を何度もして、その内、心療内科へ通い、その音楽会社を辞めた。
辞めて、今よりも、小さな新宿の会社で仕事をしている。
そんな矢先に、シンイチが、屋上で、一人で、のびのびと歌うのは、そんなプロの歌手が多くいるプロダクションよりも良いと思った。