第4話

文字数 606文字

小学校は地区の学校へ行ったから、最初は戸惑った。
誰も知ってる人が居ない。
けれど、僕は最初から抜きん出ているみたかった。
担任の若い女性の先生も、「この子はちょっと違いますね」と、家庭訪問で言った。
無理して用意した、ルマンドのおかげかもしれないけど。
まだまだ無邪気な僕ではあったけど、小学校までは徒歩で20分以上かかり、集団登校の朝はまだしも、帰宅中目を閉じ、赤い暗闇の中「死んだらどうなるんだろう?」と考える様になった。
目を閉じても色があり、風の音に、栗の木のにおい。
わからないから、ずっと、毎日続いた。
偏頭痛と、ピーという耳鳴りに悩まされた。
うちに帰ると、帰宅中に糞を漏らした兄が、母親に尻を洗われながら叩かれ、泣いていた。
この兄も、弟も、驚く程に勉強が出来なかった。
特に兄は特殊学級(今で言う支援クラスか?)に入れられそうだったのを、担任のサト先生が必死に止めてくれたそうだ。
4年生になっていたその頃。
象徴的な事件がいくつか起こった。
僕以外は蒙昧なきょうだいも、数のうえでは役に立ったから、ゴムボールで野球する時など重宝された。
しかし、この城南台にも少年野球チームがあった。
弱小ではあるが。
僕は父親のグラブや軟球を拝借して壁打ちなどはやったけど、会費にユニフォーム、スパイク、それらの費用は捻出出来まいと、諦めていた。
やはり、少年野球チームに入ってる子たちは、学校でも他地域の子たちとも渡り合う立場を得ていた。

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