#1 華麗なる盗人たち 第二幕
文字数 1,043文字
戦意を持ったツヴァイの力は相当なものだった。正拳や足技を受けた異形が吹っ飛ぶ!
懐に飛び込もうとした怪人を杖の柄で殴り、さらにぶん回して五人くらい巻き込む!
ただ、それでも相手がちょっと多すぎる。
今振り回しているものは元々幹部級が所持していたのだ、弱いはずがない。
そんなことは相手も当然理解していた。
少女は遠距離攻撃や魔法による妨害をはじきながら部屋中央の大きなタンクに目をつける。
攻撃も追いかけるように次々飛んでくるが、地上のアインも妨害の妨害を行い、ツヴァイは軽やかに回避していく。
しかし、目的地にだいぶ近付き次の足場へ着地しようとしたその時だった。
魔法の刃が着いたばかりの左足に被弾、大きく滑る!
傾く視界。ツヴァイは既に魔法があっても落ちたらただで済まない高さまで来ていた。
常人であれば死、誰でもわかる。落下への恐怖に支配されかけるが、この感情は即座に振り払われた。
何故なら、今の彼女は現代の道理など効かぬ魔法存在「魔賊」!
既に常人ではない!
咄嗟の判断でその場に杖を突き立て、反発で飛び上がる!着地先は……目指していたタンク!
高所からの足音に反応し地上で交戦していた面々が一斉にこちらを見上げる。
ツヴァイは宙を舞う杖を再び掴み、かつて言われた台詞を高らかに叫ぶ!
杖から閃光が放たれると、部屋一帯の怪人が石と化した!本当に一瞬のことだった。
……静まり返った部屋にさらなる追手の足音が近付く。
逃走を再開すべくタンクに乗った時のルートを戻るツヴァイだったが、床に足をつけたところでよろめいてしまった。
二人は大量の石に傷をつけないように気を付けながら、再び走り出す。