第3話

文字数 327文字

目が慣れてきた。
周りが見渡せる。

で斜めの壁に張り付いている俺は手元を見る。
コンクリートの壁の一部が茶色に染まっていた。
尾を引いているものもある。
ズル、ズルズルっと
また、下にずり落ちる。

何度もずり落ちては、少し這いあがり
ずり落ちては、這いあがるを繰り返した。
手のひらは、赤く血で染まり、足には力が入りにくくなっている。

このままでは、あの暗闇に落ちてしまう。
引力に抵抗するかのように
息を詰め、手のひらを壁に貼り付け、足の裏に力を込め、背中で壁を這いあがる。
ズ、ズズズ
よし、少し上がれた。この調子で上がってやる。
ズ、ズズズ

はぁはぁはぁ、
肩で息をする。
なんで、こんな所にいるのか
なんで、こんな目にあっているのか
何もわからない。
でも、あの暗闇に落ちたくない。
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