第7話 「談話」

文字数 405文字

私は話した。真壁さんのこと。婚活のこと。初めて女性として見てもらえて、うれしかったということも正直に話した。妹尾は黙って聞いていた。もう、馬鹿にしたような薄ら笑いは浮かべず、真剣に聞いていた。
 妹尾も話してくれた。会っていなかった数年間のうちに、彼は辛酸をなめていた。教員になってから、人間関係に悩み、生徒との距離感に悩み、心の病を発症して今は休職中であること。大学時代の同期で、同じ教員の妻とは離婚してしまい、それが新たなこころの傷になり、今は教師をやめてしまおうかとまで思いつめていること。けれど、その前に、大学時代にみんなで楽しく過ごしたこのカフェで、もう一度自分を見つめなおしたい、もしかしたら自分に喝を入れてくれる同期や先輩に会えるかもしれないと思った。だが、ここで会ったのは、初めての「モテ」に有頂天になり、学生時代からその真面目さと知性を尊敬していた我妻先輩が、「変わり果てた姿」だったこと……。
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