第1話

文字数 1,061文字

 歌手の西城秀樹(さいじょうひでき)が亡くなって3年が経つ。死因は急性心不全で享年63歳だった。
 彼は郷ひろみ、野口五郎とともに、自分の年代の御三家だっただけに、彼の死はショックだった。自分の若さ、元気を失くしてしまったような気がした。
 元号も令和になり、一番若かった昭和生まれの下に平成生まれが現れたと思ったら、今度はさらに若い時代が始まった。自分も歳を取ったなあとつくづく思う。
 若い人たちにそっぽを向かれた組織は衰退する。野球、サッカー、テニスなど人気が持続する運動競技は高校生以下の競技人口が多い。近年、人気が出てきた卓球も、世界選手権で活躍しているのは皆10代の若者だ。水泳、体操、アイススケートなど記録を塗り替えるのも皆、若者だ。スノーボードやスケートボードなどの新しい競技も、若者たちが世界の頂点を目指している。運動ばかりではない。将棋の世界も中学生(現在は高校の途中から将棋に専念)が大活躍して大人気である。伝統や仕来たりをじ~っと守っている年寄りも、若い力の勢いを止めることはできない。
 これは地域でも同じだ。若い人たちが減少している地域は衰退傾向にある。ご当地山形県もご多分に漏れず、若い人が減り高齢化が進み人口が減少している。
 困ったことは、その人口動態の予想に合わせて、医療環境も縮小を余儀なくされることだ。国の地域医療構想では、地方の人口減少地域では病床数、特に急性期病床を減らして医療を集約化することが求められている。それなのにいざ、新型コロナウイルス感染が拡大すると、国からは「地方の医療体制は脆弱だ。」と言われる始末である。これでは医師不足の地方に若い研修医は大勢は来ない。
 都会に出た若い人たちが地方に戻らない2つの大きな理由は、子弟の教育と医療環境への不安だと聞く。急病になっても近くで高度な急性期医療が受けられないという不安があれば、若い人たちは山形の自然より都会の利便性を選択する。人口減少への医療体制の対応が、かえって自分たちの首を絞めているような気がしてならない。

 さて写真は最上川に沿って(さかのぼ)り、羽前前波(うぜんぜんなみ)駅に近づく陸羽西線の鈍行列車である。2017年7月に撮影した。

 山の中、木々の緑、静寂。トンネルに入る際に鳴らす汽笛のみが聞こえる。都会の喧騒とは別世界で、時間が止まっているような感じがする。人はいなくて活気こそないが、この自然も捨て難い。若い人たちがこの自然の良さを理解しアピールしてくれるようないい方法は何かないだろうか…?
 んだの。
(2018年7月)*(2021年5月 一部筆を加えた)

 
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