第11話 怖いの正体

文字数 1,072文字

はぁ~
ため息は美容の敵だそ!

どした?

怖いんです
怖い?
新しい事を始めよう!って自分で決意したのに、いざ始める段階になると怖くて、怖くてたまらない…
ふむふむ
それに、ほら、この年になって失敗したら、立ち直るの時間かかかるじゃないですか…
確かにね…
周りは見ず知らずの人ばかりで、単身敵地に乗り込んで行く気分になってて…
ちょ、ちょっと待て、まさかこの会社辞めるつもりじゃ…?
はぁ!?辞めませんよ!


よ、良かった~
こんな社長の秘書、他の人には務まりません!
ご、ごめんっ!
ちょっと~なんで謝るんですか?まさか…また何かしでかしたとか…?
いや、いや、何もしてない!

何だか、ついいつものクセで条件反射で謝ってしまうというか…その……なんというか…

フフッ…社長のそういう所、私はスキですよ~ まぁ、これまでも色々ありましたからね~
本当、君には感謝してる!

正直、今、君に抜けられると僕が困る…だから、辞めないでよね

だから、辞めませんって…安心して下さい!
う、うん。よかった!あ…ありがとな
なんか、ヤケに今日は素直ですね…やっぱりなんかした~?
してない!してない!

ホントにしてない!

フフ…この会社に入って、私、結構たちますけど、社長がどんどん新しい事をはじめるのに感化されて、私も始めてみよっかなぁと思ったんですけど…
うん
いざ試験を前にすると、なんの準備もできていない、どうしようもない自分がいて…
うん
もう、時間的にも間に合わないので、今の実力で受けてみて「ダメならそれまで!」と思う自分と「落ちたらどうしよう…」って思う自分がせめぎあってる…みたいな感じですかね
なるほど
わかってるんです。簡単なものじゃ無い!って…それなのに、どこか簡単に考えてる自分もいて…
要するに……頭の中がぐちゃぐちゃしてるんだな!
はい
よし、シンプルに考えろ!

君がすべき事はたった1つ!

1つ!?
試験当日、無事に試験会場に着けばいい!
はぁ!?
会場に着いたら、その先は、なるようにしかならん!
まぁ、そうですけど…
考えても考えなくても、なるようにしかならない…だったらやるべき事に集中する!
はぁ
行って、試験受けて、無事に帰ってこい! ただそれだけでいい!
でも…
試験落ちても死ぬわけじゃないだろ?
まぁ…そうですけど…
『死ぬこと以外はかすり傷』だろ?
フフッ、さすが社長ですね…
美味いもん食ってしっかり寝て、すっきり起きて行ってこい!

お前が帰る場所、ココは俺が守るから!

社長…
なぁ~んて、ちょっとカッコいい事言っちゃったかなぁ?
私の頭をくしゃっと撫でて、部屋を出て行く社長の背中、いつまでも追いかけたいな…。
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登場人物紹介

粋 字引 (通称:粋爺)

旅人旅館『囲炉裏庵』の伝説の師

須磨 歩

「粋字引」師匠の弟子(自称)

囲炉裏庵の従業員

辺 嘉子

囲炉裏庵の従業員

羽祖 高範

月夜野リゾート社長

バイク旅が趣味

囲炉裏庵の常連客

紙手 文子

月夜野リゾート社長秘書

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