第3話

文字数 6,309文字

朝早く学校の職員室から外の生徒にまで聞こえるような声が飛んでいた。
「××先生‼︎これでもう四人目ですよ‼︎教職員の傷病による入院は‼︎。」
「わかっているよ‼︎、ただでさえ交通事故や精神異常の病気の
生徒が多いのに教員までもそうなると…もう…」
頭をガシガシかきながら××先生うなだれた。すると横にいた別の教師はこんなことを呟いた。「…最近生徒内で変な噂が流れてたっけ…?確か死体の噂が…」
「やめろ‼︎そんな話はするな‼︎」と教師は怒鳴った、
「そうですよ‼︎△△先生、教員がそんなことにを信じてどうするのですか⁉︎、縁起の悪い!」
「…すみません」と謝った、そして××先生は立ち上がりこう言った
「こうなったら校長に話してみるか、教頭では話にならん。」
そして彼は職員室を出て校長室へ向かった。
その頃、カナは撮った写真をスマホから眺めていた。
ほとんどの写真には必ずハルと秋人が写った写真があり、それを眺めていた。
それに夢中になっていたのか横からきた二人に気づいていなかった。
「おっカナじゃーん、どうした?一人で写真眺めてぇ」
「あっケンジローくんにハクくん」
馴れ馴れしい感じで絡むケンジローにハクは止めるように言った。
「おいケンジロー、無礼すぎるぞ、すまんなカナ。」
「いいよ、…あのハクくん、ケンジローくん」カナは二人にとある事を尋ねた。
「二人とも確かアッキーとは幼馴染だったよね、聞きたいことがあるんだ。」
何?っという表情で二人はカナの話を聞いた。
「アッキー、前に彼女の話したんだけどすごく嫌な顔をしてたんだ、なんでなんだろうって思うんだ。」そのことを聞いてケンジローとハクはお互いの顔を見て
これは言うか誤魔化すべきかと悩んだが先にハクが口を開いた。
「…これは秋人からは他の人には話すなって言われている、カナは誰にも話さないって約束するなら話してもいいぞ」それに対してカナはうんっと首を縦に振った、
「ケンジローいいかい?話して…」
「お…おう、別にいいと思うぜ。」そしてハクは秋人の過去について語った。
「今から六年前秋人は、特に異性についてはあまり考えていなかった。
初めて女の子と付き合うきっかけになった出来事があった。」
カナはそれにうんっと頷いた。
「自宅の鍵を無くした同級生の女の子の鍵を一緒に探して見つけてあげて
それから秋人は彼女を誰にも内緒の特別な子として交流を続けた。時に家に招いてゲームをしたり時々宿題を教えてもらったり、この絆がずっと続くと幼い心は思っていたのだろうが、ある日学校でタチの悪いクラスメイトに見られた
彼と取り巻きは茶化し始めた、隣にいた彼女は不安そうに秋人を見たがその彼女を見てどう答えるか言葉を詰まらせてしばらく黙ったけど秋人はこう言ったらしい」
「え、どんな事を言ったの?」
「そ…そんなわけないだろ‼︎こんなやつ知らないよ‼︎…って
その顔は信じていた人に裏切られたような悲しい顔をして
その日以来は彼女とは口どころか顔を合わせなくなったと」
そんな過去を知ったカナは
「…アッキー…そんなことあったんだ…いつも昔のことどころか、
最近の身の回りの事は言わないから。」と悲しく言った。
「秋人から聞いた事はこれくらいだけだが…それでどうするんだ?。」
とハクはカナに尋ねたけど彼女は、
「わかんない、けどこれは他の人には話さないって事は誓うよ。」
カナはニコッと笑顔で返して校舎へ戻った、ケンジローは横からハクに言った
「ハク、カナは約束は守るやつなのはわかるんだけどさ、」
「その辺は考えてない。」
「考えてないって!、よく言うじゃん!合理的にとか…」
「友人に合理性を求めるのは失礼だよ。」
と一蹴してハクもまた校舎に戻った、その時間帯の頃はハルはまだ病室で眠っていた、
彼女は夢を見ていた、ここは何もない白い空間、
そこに制服を着たハルが立っており、ここはどこ?っと思いながら
周りをキョロキョロと見回してから真っ直ぐす線を合わした。
その先には人型の黒いモヤが立っていた、
「何?…これは一体…」とよく観察をした瞬間そのモヤは突然一つの塊となって
ハルに襲いかかった。
「わああぁぁぁ‼︎」っと言うまに飲み込まれ彼女の視界は真っ黒に染まった…。
それに反応してか、ベットで眠るハルの手は一瞬ピクっと動いた…。
その動き以降はハルは何一つ動かずまだ眠りについたそして次の日もまた
秋人とカナは彼女の見舞いに行った。今日は土曜日でいつもより遅くは来た、
病院へ向かうための信号を前に二人は立ち止まって話していた。
最初は他愛のない話だった、
お互いに「なんだよそれー」と少し笑いながら話していたけど
カナはあることをぼそっと言った。
「別に気にしなくてもいいと思うよ…」
「あん?なんだって?」そう返した事に、聞こえたんだって表情になって
「あ!、うんなんでもないよ…あっほら信号が青になったよ行こう。」
と秋人の手を引っ張って病院へ向かった。病室へ入ったら
そこにベットで眠るハルとその父親がいた。二人は挨拶をして今の状況を父親から聞いた
「運び込まれた時からは何一つは変わっていない、ただ呼吸をしているだけ…」
とつらそうに言った。
その様子を見てカナは言った
「大丈夫ですよ、ハルちゃんはきっと目覚めますよ」
「そうだね…親である僕が希望を持たないとね…そうだカナちゃん。」
とカナにあることを尋ねた
「ハルから聞いたんだ…あの子が一年の頃にバレンタインのチョコをもらったって聞いたけどね」それにドキっとカナは反応した、横にいた秋人はなんだと疑問に思う
顔をした。
「…あっそれは友達だからねって言うわけで…いわゆる…義理ってことです…」
とハハハっと笑ってそのままカナは病室を出た。秋人はどうしたんだと思い彼女の父親に少し会釈して
病室を出た、先に行ったカナの後ろから彼女を呼びかけたが、それに反応はしなかった。
「カナ、どうしたんだよ突然出てって、何かあったのか?」
「あ…うんちょっと用事を…」と早足で歩いた、その先を回り込み秋人は問い詰めた。
「用事って…、今日は何もないって言ってただろ!、何か隠しているだろ⁉︎」
それに対してただ黙るカナに少し苛立ちを覚えて彼女に対して声を荒げた。
「少しは答えろよ‼︎、そんなに俺に言いたくないのか‼︎」
カナもその事に対して
「何よ‼︎怒鳴らなくていいじゃん‼︎」とガッと大声を上げた。そしてつい
「…そっちだって隠してることあるくせに…」と言った
アキはカナを睨みつけ
「ハクにきいたのか俺のことを…⁉︎」声色に怒りを込めて言った
「あ……」というまもなくアキはカナを避けて去っていった。
「アッキー…」とすごく悲しい顔をしてただ眺めていた。
今日の日はただ泣きそうな気持ちで家に帰った。
それから月曜の朝。
あの時のこと以来秋人に会うのが気まずくて一人で学校へ向かった、
学校へ着いたときに彼女はいつもの教室へ向かわず個別の面談室のドアを叩いた、
その机には先生が座っていた、
「あら、カナさん、おはようございます」と朝の挨拶をする先生。
「おはようございます。」と返してカナは座った、
最初に口を開いたのは先生だった
「カナさん、どうしました?」
「あたしは変なのかなと思います」
「変ってどういうことかしら?、詳しく説明はできますか?。」
カナは目線を下に向けて続けてこう言った。
「あたしは女の子です…けど別に男の子が嫌いとか苦手とかではないのです…けど…女の子が
好きになるんです…」と言葉を詰まらせる彼女に対して先生は答えた。
「同性の相手を好きなるってことつまり自分が同性愛者である事を隠し続けているって事?。」
顔をすっと上げてカナはそれに答えた。
「大体あってます…でもそう気づいたのは最近の事…そう一年の頃です。」
「きっかけはなんだったか答えられる?」と先生の質面に対してカナは答えた。
「同じクラスの友達の桜井春子さんと出会ってから、彼女を見るとすごくドキドキとするようになってそれから…」
「それについてどう思っているの?」
「どうすればいいのかわかりません…、ずっと隠すべきかそれとも…正直に言うべきか…、隠しているせいで二日目に秋人くんと喧嘩してそれから顔は合わせてないのです」
ノートにカナのしゃべった内容を書いてから先生はこういった。
「あたしからはどうも言えない難しい問題です、でも教師の立場としてはほっておくわけにもいかないので一つ言います、黙っている事はずっと心に留めておいても苦しくなります、だから
勇気ができた時に話すべきと思います。」としっかりと表情を変えず先生は答えを出した。
「後は何か聞くことはある?」とカナに質問をした、
そしてカナは。
「大丈夫ですありがとうございます先生…」と立ち上がりぺこりとお辞儀して部屋を出た。
午後の授業を終えて教室へ出た時にカナは秋人を見つけたが彼はハクなどの他の友人と一緒にいた、そのことに気を遣ってか声をかけずに、そのまま一人でいつもの帰り道を一人とぼとぼ歩き、自宅である錆のある古いアパートの自室へと帰った、
義理の親である叔父と叔母とテーブルを囲んで食事をしてる時隣の叔母が言った。
「カナ、最近どう?、学校は楽しい?」
「へ?どうして?」
「なんだか最近暗い感じがするの、中学の時のあの感じみたいで…」
と叔母言ったことに少し戸惑ったが、
「ううん、最近忙しいからちょっと疲れているんだそれに学校は楽しいよ友達沢山いるし。」
と笑いながら今の状況を悟られないようなそぶりをした、
その後ごちそうさまと言って自分の部屋へ行きベットで寝転がった。
かけていたメガネを机に置いて今日、そして今までの出来事を思い出した。
ふと手元近くに充電中のスマホがありそれを手にして、
電話帳を開き秋人の電話番号を押そうとしたけど、電話したところで口を聞いてはくれないだろう、そう思いスマホを元の位置に戻して枕をだきこう呟いた。
「あたしってこれから幸せに生きられるのかな…」と悲しげな顔をして目を閉じた。
次の日の朝、秋人は一人いつもの通学路を歩いていた。
あれから三日くらいはカナと話をしていない、前に怒鳴ったことが今頃になって悪いと感じ始めたがどう謝ればいいかわからない状態だった、
「ダメだここで何もしなきゃ変わらない、ハルが目覚めてもこんなんじゃ…」と思い
学校へ走って行った、自分のクラスへ先にカナがクラスへ入る姿を見た、
声をかけようと「おい」っと呼んだけど気づいていないのかようだった、
続けて入ろうとしたがその瞬間だった、走って教室を出るカナとすれ違った、
一瞬だけしか見えてなかったけど、泣いていたのがわかった。
なんだと思って教室へ入ると、黒板には乱暴に描かれた大きな文字で…
「ヒムカイ カナ は レズのヘンタイオンナ 」と描かれていた。
驚愕と同時に激しい怒りを覚えた彼は近くにいた友人に静かにそして
怒りを込めながら問いただした。
「…あれを書いたやつは知ってるか…?、誰だ‼︎」
それに怯えながら同級生の女の子は答えた、
「あ…あの二人よ不良のあの二人が書いてたのを…」
それはこのクラスではタチの悪い女生徒の二人だった、
それを知った秋人はすぐに教室を出てその二人の元へ向かった、学校裏で不良とたむろしているあの二人がいた。すぐにそいつの元へ行き彼女たちに問いただした
「あの黒板ははお前らが書いたのか?」
「何?あたしはあのババアとの面談の事実を述べただけじゃん、何が悪いのぉ?」
「ほんとキッモいよね、あいつほんとの変態だよアハハハハハ‼︎」
その人をバカにするようなそぶりに怒りにまかせ秋人は殴りつけた。
「てめえ!俺の女に何してんだ‼︎」と不良の一人が秋人を殴りつけて彼は地面に倒れた、
そして立ち上がりその不良に掴み掛かった、その場にいたもう一人の不良も
秋人を蹴り付けて秋人はまた倒れ込んだ、そこに不良たちは彼を袋叩きにして
秋人はうずくまっていた、そこにたまたまハクとケンジローが通りかかりその集団に
大声をかけた、「おい‼︎何やってんだ‼︎」と不良たちにその大柄な体で立ち塞がるハクに対して
「ん…んだよコラァ!こいつが…」そのままその不良の腕を掴んでぎゅうっと握り捻った、
「いでぇぇ‼︎、放せ放せ‼︎」
「欲しいのならすぐにどっかへ行くんだ」といい、相手はうんうんと頷いた所で手を離してその不良たちはその場を去っていった。立ち上がった顔中あざだらけの秋人は
ハクとケンジローに顔を合わせた
「アキ、保健室までは着いて行くけどさぁ…」とケンジローが困った顔をしたが
秋人は何も答えずどこかへ行った。
学校の個室で先生に泣きつくカナがいた。その個室に
一人秋人が入ってきた
「アッキー…‼︎…どうしたのそれ…」
「秋人くん…まさか誰かと喧嘩したの⁉︎そうでしょ!」
ただ黙ってカナの方を見てそして答えた
「隠したいことはお前にもあったんだな…」と
言って部屋を出た。「アッキー‼︎」と大声で彼を呼ぶも振り返らず学校を後にした。
夕暮れの帰り道、カナは一人自宅へ帰った、ただいまとは言わずに玄関を開け
叔母の「どうしたの?」という問いかけに答えず自室へ入って部屋の隅っこでうずくまっていた
自身の特性のことで笑いものにされたことだけでなく、それ友達を傷つけてしまった事もあり
心はズタズタだった。
「…あたしはやっぱり幸せにはなれないんだ…」と顔を伏せて泣いていたところ。
ブーブーっと携帯がなり誰だろうと電話に出ると
「カナ…一回顔を見せろいつものとこで集合な、」と秋人から電話が来た。カナはそのいつものところへ向かうために外へ出た。
この町の川の近くまでやってきたこの川の高架下は
いつも三人で集まる自分たちしか知らない所、歩いてそこへ行くと秋人がビニール袋を持って待っていた。
「…アッキー何かよう?」というと秋人はビニール袋に缶の酒をたくさん出してカナに渡した。
「飲むぞ、親父の酒だしたくさん買い込んでるから何個かくらいは持って行ってもバレないし」
戸惑いながらもプシっと開ける音を聞き自分も缶を開けた、一つ二つと飲んでからフラフラとした気持ちになって、高架下の柱に二人もたれかかった、
酔いが回って脱力感のある口ぶりでカナは話した。
「今日の事は知ってるよね…、嘘じゃないんだよ…あたしってそういう子なのは事実なの…
でも打ち明けるのは怖いんだ、何かが壊れそうで…」意識は浮いた感じで話した、
それに対して秋人は答えた
「別に問題はないと思うぜ…隠したい事はみんなたくさんある…俺はな…」
「知ってる…ハクくんから聞いた…」と言うと秋人は柱に深くもたれかかった。
「俺はさ、意外と臆病なのさ、ハルの事を好きって思ってても昔のこともあって傷つけるかもしれないからさ、それが怖くて…」という告白にカナは、
「アッキー、あたし達はどこか似ているところがあるよね」
「あん、そんなのねーよ」
「いやもしかしたらあたしらハルちゃんの事が好きかも、だから似ているんじゃないかって」
と言って夜空を眺めて続けてカナはこう呟いた。
「ハルちゃん明日目覚めたらいいな…」
それから二人は酔い潰れてそのまま眠った。その朝に春子は目覚めた。
朝日を目を閉じた顔で浴びた時に彼女は目を覚ました
「…うん…誰かいないの…」という言葉を外にいる母親が聞き部屋に入って起き上がったハルを見てすぐに先生を読んだ。
すぐに駆けつけた弟と父親も彼女の目覚めに喜んだ。その様子を尻目にすぐベットから降りて
部屋を出ようとした。
「ハル?どこへ行くの?」
「あっうーんまず最初にトイレ行きたいんだよね」
そのまま黙ってトイレへとむかうハルコは頭をかきながらふあっとあくびを
していた。
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