第8話

文字数 298文字

左腕を強く捕まれ、体が引っぱられると次第に体に重力を感じた。
口の中に息を吹き込まれ、ゴホッゴホッと咽返る。
苦しい……。
体が水を拒絶するかのように嘔吐する。

「大丈夫か?」
背中を擦られ声を掛けられた。

誰?なに?
何が起きているの?
水を吐き続け、苦しい。

「大丈夫か?死のうとするなんて、バカなことを」

死ぬ?
誰が?
私?
そうか、私、死ぬところだったんだ。

咽る私の背中を擦り「大丈夫か?」と何度も声を掛けられた。

いつものように ”私は平気だから気にしないで” と言えばいいのに 
その言葉が出てこない。

だって、平気じゃない。もう限界だった。

「大丈夫か?」
この言葉を聞いた瞬間。
景色が歪み私の目からは涙が溢れ出す。
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