第2話
文字数 389文字
そして、私はいつのまにか裸になっていた。自分でも気が付かない内に服を脱いでいたのだ。寒さは感じなかった。まるで夢を見ているようだった。夢であるならば、どんな行動も許されるのだと思った。私は若者のところに走っていき、目の前でコサックダンスを踊った。突然の出来事に呆気に取られている若者からギターを奪った。私は靴も靴下さえも身に付けてはいなかった。この秋の夜に正真正銘の全裸だった。ギターを適当に掻き鳴らしてみる。綺麗な音など出やしない。若者は未だに呆然と突っ立っている。笑える。ピック貸せ、と言ってみる。素直に差し出す。笑える。ピックで弦をまた適当に弾いてみる。思ったような音が出ない。当たり前だ。コードなんて知らないのだから。でも楽しい。不快にはならない。若者に言ってみる。
「イクぜ! 俺のサウンド! 聞け! 若者!」
「え、あ、あのギター返して……」
ぷっ。笑える。笑えるよ。
「イクぜ! 俺のサウンド! 聞け! 若者!」
「え、あ、あのギター返して……」
ぷっ。笑える。笑えるよ。