最終話 お楽しみ会

文字数 1,228文字

みんなカードは持って来たらしい。
それをアキナイくんは回収して回った。

そして、
「少々お待ちください♪」
と言って控室に戻って行った。


「モモカ、苺大福あるよ!」
メグミは楽しそうだが、わたしはそれどころじゃない。
落ち着けモモカ。
そう中学時代の恋なんて時効だ。
七年も前の話だし。

わたしはモモセくんの姿を追った。
隅の方で、仲の良かった男子と話している。

ここに来てるって事は、書いてるって事!
そして、めっちゃ男前になってる!
それなのに!
もうすぐ色々晒される!

わたしがモモセくんの事を、大好きだった事。
そしてモモセくんが、大好きだった人の事。
どうしよう。

「まだ開けないでくださいね」
アキナイくんが、封書を配り始めてる。
アレに『中学の時、誰が誰を好きだったか解る図』が入ってるらしい。

アキナイくんが手渡してくれたが、逃げたい。ここから逃げたい。
なんで同窓会如きに、こんなドキドキさせられるの?

「それじゃあ、一斉に開けてください♪」
アキナイくんの一言に、みんなが一斉に開け始めた。
わたしは、モモセくんを一目見た後、封書を開け、
『中学の時、誰が誰を好きだったか解る図』を取りだした。

会場で
「えーわたしの事好きだったの!」
「言ってくれたら!」
「お前、マジ!」
と声が上がった。

わたしは『中学の時、誰が誰を好きだったか解る図』のわたしの名前とモモセくんの名前を探った。

モモカの名前があって、どこかと線が繋がってる。
「あっモモセくんと繋がってる」
わたしの心が温かくなった。中学の時の熱狂とは違う種類の温かさだ。
モモセくんの方を見たら、目が逢ってしまった。


●☆*:..。o☆●●☆*:..。o☆●●☆*:..。o☆●


「モモセ、行けよ」
思いっきり顔を赤らめているモモセの背後から、俺は言った。
そしてさらに、言葉の追い打ちをかけた、

「お前はさあ、商売人の俺から見ても、いい男だし、信頼出来る男だ。あのアホを男運の不幸の連鎖から解き放って、しあわせに出来るのはお前だけだろ?」

はあ、前もって確認を取ったにも関わらず、この弱気さ。

「あいつに言い寄った奴らの調査資料見せただろ。
今、行かないと、あいつ本当に不幸になるぜ。
好きな女が、不幸になるのを見て見ぬ振りする気か?」

モモセがやっと動き出した。
その異変に、会場の視線がモモセに集まりだした。


●☆*:..。o☆●●☆*:..。o☆●●☆*:..。o☆●


「あっモモセくんが、こっちに来る!」
物凄く近づいてきた。
あっ背が高くなってる。
「モモカちゃん、好きでした。これからもずっと好きです。一生付き合って下さい」


●☆*:..。o☆●●☆*:..。o☆●●☆*:..。o☆●



「モモカ良かったね」
わたしは泣いた。

商売を終えたアキナイが近づいてきて、
「メグミさんさあ、俺の事好きだったんだ。
あの頃は嫌われてると思ってた。ツンデレって奴?」
と言いながらも顔は激しく照れていた。

「わたしの事、好きだったんだ」
わたしの言葉に、奴の照れは激しさを増した。



      完


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登場人物紹介

メグミ。モモカの親友。

アキナイ。小学生の時から商いをしていた守銭奴。

モモカ。ちょっとアホな子。メグミの百合友。

モモセ。モモカが中学の時に好きだった男子。

ハルナ。アキナイの妹。

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