第四話

文字数 506文字

 それから、しばらくの時をサンと共に過ごした。散歩に行くと辺りの木によじ登って空を眺めていたり、子供の真似をしてアイスクリームをねだったり、砂によく分からない絵を描いていたりとのんびりとした過ごし方をしていた。私がベンチで本を読んでいるとどこに落ちていたのかいろんな種類の木の実を持ってきたときは、正直どうすればいいのか分からなかった。捨てるわけにもいかず、それは今でもリビングの戸棚の上になんとなく並べられている。家では文字を勉強しているがうまくいかないようだった。練習帳の文字をなぞる欄ですら壊滅的な出来栄えだった。私は、とうに諦めていたがサンのほうは楽しそうに続けていた。きっと理解はしていないんだろうけれど、別に悪いことではないかと好きにさせておいた。後は、サンにとって寝る前に絵本を読んでやるのが毎日の楽しみのようだった。これは、言葉の勉強もより複雑な感情を学ぶこともできるだろうと私が始めたことだったが今ではサンのほうから本を持ってくるようになった。絵本には短いながらに心を揺さぶられるような話もあり、私としても学ぶことは多かった。そうして時は過ぎ、今は秋。公園に行こうと準備をしているところだった。
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