セリフ詳細

でね、西田の言う「人格」とは結局、

一般的な意味での、日常用語で使われるような人格のことではなく、

この、〈はたらき〉のことなんだよ。

それでもなぜ、あえて「人格」なんて言葉を使ってしまうのかというと、

ぼくは西田本人じゃないから、真意はわからないけれど、

たぶんきっと、この〈はたらき〉には方向性があるから、デタラメじゃないから、

そういうことをね、表現してるんだろーなー、と思う。

たとえば、ノドが渇いたら、コンビニでジュースを買うよね。

ノドが渇いたのに、コンビニで本を買おうとは思わない。そんなのデタラメな行為だ。

ぼくには「人格」がある、というのは、ぼくがデタラメにふるまわない、ということでもある。

ぼくは、ぼくらしい行為をする。

同様に、この世界を生成させている〈はたらき〉は、デタラメなものじゃない。

ノドが渇いてコンビニで本を買ってしまうような〈はたらき〉ではない。

そんな〈はたらき〉だったら、そもそも世界は成立していないかもしれないし。

作品タイトル:西田幾多郎を読む

エピソード名:『善の研究』を読む③

作者名:千夜一夜読書人  nomadologie

19|社会・思想|連載中|9話|32,364文字

哲学, 西田幾多郎, 善の研究

17,179 views

哲学者・西田幾多郎の著作を順番に読み進めていきます。