公頭和人は連絡船で繋がれた島、一ノ島から対岸の島平高校に通う高校生。島にある神酒井神社では、７年に一度、「もりとえらび」という神事が行われる。その年、数えで１８歳の男女がそれぞれ１名ずつ「もりひこ」「もりひめ」として選出され、９月の満月の夜に神社の本殿で二人一緒に一夜を過ごすのだ。その年、「もりひこ」「もりひめ」になる者は、前日に言い渡されるしきたりだったが、ひょんなことから、和人は、自分が今年の「もりひこ」に選ばれることが前々から決まっていたと知ってしまう。納得いかない和人の悪足掻きが始まる。

文：倉谷　梟帥　　表紙イラスト：３０ｗ