セリフ詳細

「私も美人は嫌いではありません。ですが、わが君が、この荊州を領せられても、まだ日は浅いということでした。新占領治下の民心は決してまだ安らかではありません。しかるにその翼臣(よくしん)たるそれがし(はい)が、美人にうつつを抜かし、いち早く(おご)りを示し人民の範たることを打ち忘れ、政治(まつりごと)を怠りなどしていたら、せっかく、わが君の大業もここに挫折するやも知れません。すくなくも、ここに民望をつなぎ得ることはできません。――以上の諸点を考えては、いくら好きな美人であろうとそれがしの(こころ)をとらえるには足りません」


作品タイトル:三国志

エピソード名:第106話、零陵、桂陽、攻め

作者名:畑山  hatakeyama

126|歴史|完結|156話|1,238,935文字

三国志

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青空文庫より、吉川英治、三国志をチャットノベル化
幾分、内容文章を変えています。